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東欧出身の元J指揮官「日本の子供は可哀想」 才能を埋没させる育成現場の“無駄”

セルビア出身のズドラブコ・ゼムノビッチ氏は、1995年に来日してからあらゆるカテゴリーの指導を経験してきた。2000年から02年まで清水エスパルスの監督としてプロの頂点を競ったが、一方でアマチュアも、大人から高校、さらには小学生までの現場を知り尽くしている。

来日20年超のゼムノビッチ氏が見る日本の育成事情「同じような選手ばかりが育ってくる」

「日本で一番良いサッカーをしているのは小学6年生。なぜなら小学生は、学年ごとにチームがあるからね」――ズドラブコ・ゼムノビッチ

 セルビア出身のズドラブコ・ゼムノビッチ氏は、1995年に来日してからあらゆるカテゴリーの指導を経験してきた。2000年から02年まで清水エスパルスの監督としてプロの頂点を競ったが、一方でアマチュアも、大人から高校、さらには小学生までの現場を知り尽くしている。

「セルビアでは、8歳から18歳まで1歳刻みでチームがあり、しかもずっと同じクラブで過ごすことが多い。でも日本は中学、高校と3学年で一つのチームしかない。これでは18歳までに4~5年間も無駄な時間を過ごすことになる。それに小中高で3度も監督が代わることもある。こうしたロスの多い方式を変えていかなければいけない」

 この言葉は9年前のインタビュー時のもので、その後はJクラブを中心に少しずつ改革は進んだ。部活でも複数のチームがリーグに参加できる仕組みが進んではいるが、それでもまだまだ無駄は多い。

「習志野高校で指導をした時は、100人以上の部員が同じグラウンドで練習をしていた。指導者は、なんとか全員がボールに触れるように工夫をするわけだけど、結局、みんなが同じメニューに取り組むことになる。ポジションに即したトレーニングはできない。だから、同じような選手ばかりが育ってくることになる」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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