「こんなに怒ったジーコは初めてだった」 “常勝軍団”鹿島を生んだ25年前の大敗
ジーコにとって負けてもいい試合は一つもない
だがジーコは、マグネットが全て飛び散るほど白板を叩き、大声で怒鳴り続けたそうだ。
「僕はそれを拾いながら、やっぱり一緒に怒鳴り続けました」(鈴木國弘)
鈴木満も「こんなに怒ったジーコは初めてだった」と当時を振り返る。
結局クロアチアに大敗した翌日から、ジーコが笛を吹きトレーニングを仕切るようになった。こうしてチームを引き締め、セリエAの強豪インテルとは引き分け、帰国後はフルミネンセとの親善試合で勝利し弾みをつけた。そして1993年5月16日、開幕の名古屋戦ではジーコがハットトリックで5-0の勝利に導き、Jリーグ元年の前期優勝へとつながっていく。
ジーコには、負けてもいい試合は一つもなかった。そんな負けず嫌いがけん引するから、チーム全員にも同じメンタリティーが刷り込まれていった。
(文中敬称略)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)