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「こんなに怒ったジーコは初めてだった」 “常勝軍団”鹿島を生んだ25年前の大敗

ジーコにとって負けてもいい試合は一つもない

 だがジーコは、マグネットが全て飛び散るほど白板を叩き、大声で怒鳴り続けたそうだ。

「僕はそれを拾いながら、やっぱり一緒に怒鳴り続けました」(鈴木國弘)

 鈴木満も「こんなに怒ったジーコは初めてだった」と当時を振り返る。

 結局クロアチアに大敗した翌日から、ジーコが笛を吹きトレーニングを仕切るようになった。こうしてチームを引き締め、セリエAの強豪インテルとは引き分け、帰国後はフルミネンセとの親善試合で勝利し弾みをつけた。そして1993年5月16日、開幕の名古屋戦ではジーコがハットトリックで5-0の勝利に導き、Jリーグ元年の前期優勝へとつながっていく。

 ジーコには、負けてもいい試合は一つもなかった。そんな負けず嫌いがけん引するから、チーム全員にも同じメンタリティーが刷り込まれていった。

(文中敬称略)

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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