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育成年代から描く「引退後の人生設計」 25歳校長が目指す“セカンドキャリア教育”

淡路島に新設する通信制学習センターの特徴は、サッカーのエリートを育成するだけではなく、引退後の人生設計にも踏み込んでいるところだ。

淡路島に新設する通信制学習センターの上船利徳センター長【写真:本人提供】
淡路島に新設する通信制学習センターの上船利徳センター長【写真:本人提供】

【通信制高校が描く新たな育成の形|第3回】どんな選手にも訪れる“第二の人生”

 淡路島に新設する通信制学習センターの特徴は、サッカーのエリートを育成するだけではなく、引退後の人生設計にも踏み込んでいるところだ。

 改めて上船利徳センター長が語る。

「もちろん世界で活躍できる選手を輩出していきたい。でも入学してきた選手たち全員が、必ずプロになれるわけではないし、どんなプロ選手にも必ずセカンドキャリアは訪れます。だからここでは自分で考え、行動を起こせる人間を育てていきたい。そういうマインドをセットするために、多彩なセミナーの講師陣を揃えています」

 ドイツを中心に欧州では、プロを目指す選手たちが挫折した場合に、どんな仕事に就くのかもあらかじめ想定され準備を進めている。選手たちはプロという夢を追いながら、一方でその難易度を自覚し、別の選択肢も用意しておくわけだ。ところが単一種目に邁進する傾向が強い日本では、引退して初めてセカンドキャリアという現実に直面し、茫然とするケースが少なくない。

 日本サッカーの裾野は広がり、カテゴリーを下げれば現役のキャリアは引き延ばせるが、その分だけ第二の人生への準備は遅れる。

「講師の中には、2500人もの起業家志望者を指導している方がいます。彼は言います。お金というのは、社会を良くして、人に感謝され、その対価として支払われるものですよ、と。一方でこれから100歳まで生きる時代の到来が予想されます。65歳から100歳までを不安なく生き抜くためには、どんな人生設計を立てて、どんな会社、仕事、働き方を選択していかなければならないのか。生徒たちには、そういうセミナーをしっかりと受講してもらいます」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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