鹿島を常勝軍団へと導いた“ノウハウ” ジーコを獲得した揺るがないスタイルの裏側
「ジーコは本当に怖かった」―、根付いた哲学
スーパースターのジーコが、土のグラウンドで練習をする。モチベーションを疑問視する声もあったが、最初からジーコは真剣そのものだった。連日疑問をぶつけられる鈴木は、その重圧で毎朝4時に目が覚めてしまうようになったという。
1993年のJリーグ開幕を控え、鹿島は欧州遠征に出かけている。トレーニングマッチの相手は、5年後のフランスW杯で3位になるクロアチア代表。ダボル・シューケル、ズボニミール・ボバンら錚々たるメンバーが顔を揃え、格の違いは歴然としていた。結果は1-8。しかしこの相手でも、負けを受け入れられないジーコは激怒した。
それからジーコがピッチ上で笛を吹くようになり、チームの雰囲気も急変していく。遠征の最終戦では、インテルと引き分け。帰国後はブラジルの古豪フルミネンセを下し、リーグ開幕へと弾みをつけた。
「あの頃のジーコは、いつも怒ってばかりで本当に怖かった。でも僕らは全てをジーコから教わろうというスタンスに変えた。それが良かったんだと思います」