Jクラブと相互支援する日体大柏高サッカー部 怪我防ぐ「疲労度」モニタリング法とは
溜まった疲労が引き起こす、怪我の予兆に早めに対処
――日本体育大学柏高校サッカー部の構成について教えてください。
○選手人数/110名(1年生45名、2年生35名、3年生38名)
○チーム構成/通常、4つのカテゴリーに分かれて練習している。1年生でひとつのカテゴリー、その他は2、3年生が混成。
○チームスタッフ構成/総監督、アドバイザー、監督、コーチ4名、外部コーチ(GK)1名、顧問4名、トレーナー3名、医師(整形外科)1名、サポートコーチ2名
――「ONE TAP SPORTS」を導入した経緯は。
根引監督「『ONE TAP SPORTS』を使い始めたのは、2019年の9月から。導入のきっかけは、体温の管理でした。当時は選手一人ひとりが毎朝自分の体温を測り、その結果を現副キャプテンの須藤が聞き取り、手書きで記入していました。これだと選手の負担になってしまうので、便利な方法はないかと思っていろいろ検討していたとき、体温を入力できる機能がある『ONE TAP SPORTS』の存在を知ったんです」
八木トレーナー「当時ヘッドコーチだった酒井直樹さんから『こんなのあるよ』と聞いたのが、最初だったと思います。サッカー部と相互支援契約を結んでいる柏レイソルでの実績があるということで興味を持ち、機能をいろいろ確認した結果、『これは便利だ』となり導入が決まりました」
――「ONE TAP SPORTS」をどのように活用していますか?
八木トレーナー「現在、『ONE TAP SPORTS』は2年生、3年生の選手が使っています。ツールの活用にあたって、チームのメディカル担当として意識しているのは怪我の予防です。選手は皆まじめなので、練習を頑張りすぎて気付かないうちに怪我を引き起こしてしまうことがあるんですね。骨折や捻挫の予防は難しいですが、疲労性障害は日々の状態をチェックすることで、予防することができます。
そこで選手にはもも裏・腿前の筋肉の張りや違和感や疲労度など、怪我につながりやすい項目は入力してもらっています。日々の変化にすぐに気付くことができるという意味で、『ONE TAP SPORTS』のデータは役立っていると思います」
根引監督「コーチングにおいて『ONE TAP SPORTS』で重視しているのは、まず疲労度ですね。トレーニングメニューを作る際、理想とする疲労の波がちゃんと作れているかを確認し、怪我を防ぎながら必要な負荷をかける調整に活用しています。
選手に個別に対応するためにデータを見ることが多いですね。例えば腿裏の筋肉に違和感がある選手がいれば、その日はその部分を酷使するメニューは外れてもらうなど、細かな調整をしています」
八木トレーナー「練習内容や強度、公式戦や練習試合の出場時間と、選手が入力した個々のデータをチェックして、怪我予防に役立てています。例えば体重は、試合日前後の1週間をグラフにして、1%以上減少したら水分・栄養摂取の量やタイミングをアドバイスしています。また、アスリハ(※)中の選手には、体組成データと入力項目でリバウンド確認しながら、怪我からの早期復帰をサポートしています」
――選手として使ってみていかがですか?
須藤選手「最初は体温、体重、疲労度の入力からでした。『ONE TAP』というだけあって、タップするだけで入力できるのがいいですね。私を含め、部員も入力に抵抗はありませんでした。今は毎朝体重を量り、寮の食堂で朝食を食べる前に疲労度などとあわせてまとめて入力している部員が多いと思います」
根引監督「『ONE TAP SPORTS』で選手が入力する数値は、自己評価(主観)が中心ですよね。導入当初は疲労度の評価が選手によってばらばらでしたが、入力を続けることで数値が安定し、2~3か月後くらいからそれぞれが『自分の数値』を把握できるようになったと感じました」