柔道界で無名から世界一へ 野村忠宏が語る「圧倒的集中力&執念」を引き出す方法
意識を変えることで訪れた劇的変化
「乱取りという実戦形式の練習をメインに行っていました。6分1回、休憩1分を繰り返して計13回にわたってトレーニングをします。実際の試合は5分ですが、どちらが勝つか分からないギリギリの勝負は、鍛えていても腕はパンパンで息切れも起こりますし、立っていられないほどのハード5分間です」
その際、細川氏から以下のようなアドバイスを受けたという。
「お前はよう頑張っているけど、その練習じゃ強くなられへん。本気で勝負したいなら、練習への意識をすべて変えろ。計13本の練習じゃなくて、1本ずつ厳しい、苦しい試合をイメージして出し切れ。それを積み重ねていけ。バテたら休んでもいい」
その言葉通りに練習を行うと、劇的な変化が訪れた。
「1本ずつ全力で乱取りをこなすことで、練習の強度が一気に上がった。自分の中で『残り何本だな』と心のどこかで考えているから、13本をこなす練習しかできていなかったんです。試合に生きる練習とはそういうものではないですし、実際に意識を変えていったら6分×5本でフラフラになるほどでした」
実際、これ以上動けないという感覚に襲われたという。そこで細川氏に限界だと訴えたところ、意外な答えが返ってきた。