「子供の所有物化」はNO 杉山愛の母が考える「“脱”モンスターペアレンツ」の方法
「モンスターペアレンツ」にならないために心がけるべき「家族の理念」
――先ほど「モンスターペアレンツにならないために」という言葉もありましたが、何が愛情ある親と、モンスターペアレンツを分けてしまう要因でしょう?
「子育てのベクトルは皆、同じだと思うのですが、手元で進む角度が一度でも違ってしまうと、そのまま進んだ時に大きな差になってしまいます。100組の親子がいれば育て方は100パターンあるので、誰かがやったことがそのまま正しいということではないと思います。ただ普遍的に正しいことはあるので、それを伝えていきたいと思っています。
どこで手元が一度狂うのかというのは、一つは、子供が大人になってきているのに、親が大人になりきれていない時だと思います。子供は学んでいるのに、親は学んでいない、成長が止まっていると起きる狂いなのだと思います。子供が成長しているなら、親も勉強して成長していかなくてはいけないと思います。
――モンスターペアレンツにならないために、心がけるべきことは何でしょう?
「私達のJAPAでは『家族の理念、哲学を持ちましょう』ということをよく言います。子供が生まれた時は、誰しも『生まれてきてくれただけで嬉しい』と思うはずなのに、そのうち『もっと容姿が良ければ』『勉強がもっとできたら、スポーツができたら……』と思ってしまいがちです。これは親が、子供を“自分の所有物化”しているということですよね。
そうではなく、“子供は社会からの預かり物”だと考え、その子供が社会に出ていくために何ができるのかを考えていくことが大切だと思います。親がすべきはそのためのサポートであり、そのサポートも引っ張ったり押すのではなく、寄り添っていくことです。そのためには、子供の意見にもしっかり耳を傾ける必要がありますよね。親にしても子供にしても、哲学を持つこと、そして、どんな人間になりたいかという目標を持つこと……最終的に大切なのは、そういう点だと思います」
(続く)
【了】
内田 暁●文 text by Akatsuki Uchida