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サッカー選手として「成功する確率は500分の1以下」 英国のコーチが重視する親との対話

コーチの役割の一つは「迷子になりそうな選手をガイドすること」と塚本は語る【写真:編集部】
コーチの役割の一つは「迷子になりそうな選手をガイドすること」と塚本は語る【写真:編集部】

コーチの役割の一つは「迷子になりそうな選手をガイドすること」

 そのためにはコーチの声のかけ方も重要な意味を持つ。

「どうしてミスが出たのかな?」
「どうしたらそれを改善できると思う?」

 安心してチャレンジできる環境は担保する。しかしミスを次に生かす方法も自分で考えさせる。

「こういうやり方をしていると、特に日本では親御さんに『ちゃんと教えていない。コーチは怠慢じゃないか』と見られがちです。そこで英国のアカデミーでは、親との面談をとても大切にしています」

 指導者たちは、実践しているトレーニングメニューが欧州でも科学的に有効性が立証されていることや、子供たちにはこう育って欲しいと考えていることなどを、懇切丁寧に伝えているそうだ。

「コーチの役割は、安心してチャレンジできる環境を整えることと、迷子になりそうな選手たちがいたら道標となりガイドしてあげることです。親御さんも、子供がサッカー選手になることが目標ですが、究極的には幸せな人生を送ってくれることを願っているはずです」

 塚本はサウサンプトン・ソレント大学(現ソレント大学)を卒業し、いよいよプロの指導者として歩み始める。4年間で蓄積した豊富な見識は、欧州でも日本でも貴重な武器になるはずである。

[プロフィール]
塚本修太(つかもと・しゅうた)

1997年6月21日生まれ、茨城県出身。幼少期からサッカーを始め、小、中学校は地元のチームに所属したが高校は名門・前橋育英高校サッカー部に進学。度重なる怪我で高校2年の夏に中退したのち、サッカー指導者を目指すためにイギリスのソレント大学のフットボール学に進学。サッカーを学問として勉強するなか、FAの心理学ライセンスはレベル5まであるなかで日本人で初めてレベル4まで取得。その他にもスカウト、分析、フィジカル、コーチングの資格を取得。コーチをしていた育成年代のチームは2年連続その地域での年間優秀チームに。昨年は小林祐希(ワースラント=ベフェレン)の個人分析官を担当した。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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