「いろいろ言われたら下手になっちゃう」 練習後にハッとさせられた我が子の言葉
我が子は特別だからと、何をしてもいいわけではない
見ていた僕は消化不良に終わったけど、本人はどうだったんだろう。帰りのバスで聞いてみたら、「Fユースに上がったら、みんな速いし、僕がもっと頑張って上手くならないとボールに触れない」と話してくれた。「楽しかった?」と聞くと、「楽しかったよ」と答える。さらに「楽しそうに見えなかったけど?」と聞くと、次男は困った顔をしてしまった。
それはそうだ。そんなことを言われても困るしかない。悪いことを言った。
「練習で気になったことがあっても、パパは黙ってた方がいいかな?」
そう聞くと次男は僕の目を見て、「うん。その方がいい。だって、いろいろ言われたら下手になっちゃうもの。僕は大丈夫だから」と答えてくれた。そうだ、そうだよね。その通りだ。せっかく楽しくサッカーをしに来ているのに、外からいろいろ言われたらやりたいこともできない。
よくぞ言ってくれた。僕は次男に謝った。
子育て論は世間に山ほどあるが、我が子に対する感情はどうしたって特別。頭で分かっていても、なかなかできないからみんな苦労する。でも特別な感情だからと、何をしてもいいわけではない。こちらがミスをしたら心から謝る。それは子供に対しても、いや子供に対してだからこそ大事なことだ。
次回は少し離れたところから、彼の頑張りを追いかけてみよう。良いプレーだったかどうかではなく、やろうとしていることを素直に認めて、褒めてみよう。
【了】
中野吉之伴●文 text by Kichinosuke Nakano