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「いろいろ言われたら下手になっちゃう」 練習後にハッとさせられた我が子の言葉

先日、次男のトレーニングに付き添っていた時の話。夏休み明け最初の練習日とあって、グラウンドに着くとみんな練習前から思い思いに楽しそうにボールを蹴っていた。

【連載コラム】ドイツ在住日本人コーチの「サッカーと子育て論」――親と子の距離感

 先日、次男のトレーニングに付き添っていた時の話。夏休み明け最初の練習日とあって、グラウンドに着くとみんな練習前から思い思いに楽しそうにボールを蹴っていた。次男も久しぶりに会う友達と嬉しそうに言葉を交わしては、ボールで遊ぶ。

 この日の練習は最初からミニゲームだけ。休み明けということで、まずはみんなでサッカーを楽しもうということのようだ。2組に分かれて7対7。コーチは「一学年上がってFユース(U-9カテゴリー)になったんだから、ちょっとずつサッカーっぽくやっていくぞー」と声をかけるものの、まだまだ自分のプレーが楽しい年頃。ボールに集まるのもそうだし、味方のボールまで取ってしまう子がいるのも普通にある。焦る必要はない。少しずつサッカーっぽくなっていけば、それでいい。

 ただ、小さい時からサッカーが大好きで、足も速くて、ボール扱いも上手い子らはどんどんプレーに絡んでゴールをしていく一方で、次男のようにまだ始めたばかりの子らはほとんどボールに触れないまま行ったり来たり。「ボールに触れないと楽しめないじゃないか」と、僕が1人外からやきもきしていても、コーチ陣は特に気にかけたりしない。

 休憩時間となり「問題ない? ボールに触れてないけど、楽しい?」と次男に聞いてみたら、次男は考え込んでしまった。続けて、僕が「できないことがあるならコーチに聞いてごらんよ。分かんないままやっていても、ボールに触れないよ」と言うと、次男はとぼとぼとコーチの元へ。でもその後の練習でも特に状況は変わらず、次男は時折こぼれ球に触ることができたくらいで終わってしまった。

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中野 吉之伴

1977年生まれ。ドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。ドイツでの指導歴は20年以上。SCフライブルクU-15チームで研鑽を積み、現在は元ブンデスリーガクラブであるフライブルガーFCのU12監督と地元町クラブのSVホッホドルフU19監督を兼任する。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に『サッカー年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)、『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)がある。WEBマガジン「フッスバルラボ」主筆・運営。

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