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陸上短距離に現れた新星・鵜澤飛羽 「陸上の才能ない」元球児が1年半で高校2冠の衝撃

16歳が自ら認める“一つの才能”「人より努力している自信はある。努力した量なら負けない」

「才能のない自分」を認めているから、どうしたら、周りより速く、強い選手になれるのか。それだけを考えて走り続け、実践する意志の強さがある。だから「努力する才能はあるかもしれない」と自分で言う。「人より努力している自信はある。努力した量なら負けないと思う」。この言葉こそが、鵜澤飛羽という男を読み解く本音に聞こえた。

 今も野球は好きという。大会期間中も「宿舎では甲子園を見ていた。ここに自分もいたのかなあ……」と笑い、白球に対する思いちらつかせたが、陸上界の期待は高まる。今大会は100メートルで桐生祥秀の大会記録、200メートルでサニブラウンの高校記録に迫った。今後は比較になる名前が、自然と日本を牽引する9秒台スプリンターになってくる。

 今大会は5月に左足首の靱帯を損傷した影響で、当初は県総体に出場しないことも考えていたほど。それが、2つのレースで一躍、その名を陸上界に知らしめることになった。宮城・大河原町出身の16歳。競技歴の浅さは、伸びしろの大きさの裏返し。181センチ、62キロの体はまだ線の細さも残るが、それもまた、成長の余白は十分に感じさせてくれる。

 200メートルのレース後、「まずは公認で20秒3台を出すこと」と目標を語った上で「これから本気でやっていけば、19秒台も出ると思う」と言った言葉も絵空事じゃない。「才能のないスプリンター」は、己を強くする方法を知っている。果たして、これからどんな選手に成長していくのか。夏の沖縄の日差しに照らされ、楽しみな逸材が芽吹いた。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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