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今年も必見! コミカル演技が話題、鹿児島実業・男子新体操部は「真剣にふざける」

冬場は毎日、樋口監督からテーマが与えられ、選手が「ネタ見せ」を行う【写真:平野貴也】
冬場は毎日、樋口監督からテーマが与えられ、選手が「ネタ見せ」を行う【写真:平野貴也】

コミカルな演技は「合わせるのが難しい」

 チーム作りも、ユニークだ。選手は某アイドルグループにならってA、K、Bの3チームに分かれて団体演技を行っている。コミカルな演技は、選手が「ネタ見せ」をして作り上げていく。自ら考える力を育む狙いがあるという。冬場は毎日、樋口監督からテーマが与えられ、選手が「ネタ見せ」を行う。繰り返すうちに、笑いのハードルは高まり、仲間と同じアイデアになってしまうことも増える。競技性を高めつつ、鹿児島実業らしく観衆を笑顔にする演技も考えなくてはならない。中学まではサッカー部で、跳躍や回転を行うタンブリングに楽しさと難しさを感じているという小田悠仁(2年)は「ネタ見せで、1回目だけでなく、何回見ても笑える演技を考えるのは、難しい」と苦笑いを浮かべた。

 コミカルな演技は、ときに「ふざけている」といった印象も与えかねないが、取り組み自体は真剣だ。県大会の際も、演技直前まで仲間同士で指摘を繰り返している姿があった。コミカルにする分、難しくなる部分もある。小学1年生から競技に取り組んでいる吉留大夢(2年)は「面白い新体操として取り上げてもらっているけど、面白い演技の中に新体操の魅力を詰めているので、そこも見てもらいたいです。普通の動きは呼吸で合わせやすいけど、僕たちの演技は動きが独特過ぎて、合わせるのが難しい。一体感が出るように、日々の練習で努力しています」と話した。

 奇妙な動きは、個々の感覚を揃えるのが難しい。見た目には、ふざけた動きだが、鏡を見ながら何度も繰り返し、ひじの位置が高い、左のヒザが曲がっている、腕の振りが一人だけ早い……など、個々に細かい部分を修正しながら、全体で合わせていく。試合やイベントでの演技披露は華やかだが、そこに至る過程には、地味な反復練習の積み重ねがある。

 今年のインターハイ全国大会の男子新体操は、鹿児島県開催。「真剣にふざける」がモットーの鹿児島実業高の演技は、地元の代表校として注目を集める。吉留は「点数も大事だけど、新体操は『魅せるスポーツ』で、見た人にすごいと思ってもらうことも大切。点数、順位ではなく、お客さんを楽しませることが目標」と活動を支える観衆や保護者への気持ちを演技で返すつもりでいる。

 今季の主将は、動画投稿サイトのYouTubeで鹿児島実業の演技を見るまでは、男子新体操を知らなかったという元野球少年の藤本祥太(3年)。「今年は、3年生5人が抜けて、下級生が3人入っているので、昨年と比べると力の差があります。練習でどうにか差を埋めたいと思い、頑張っています。試合の演技でお客さんや保護者の方々が笑ってくれると、自分たちも楽しみながら演技ができます。地元開催なので、会場を鹿実の笑いの渦に巻き込んで、大爆笑で終わりたいです」と全国大会にかける意気込みを語った。「笑門来福」の横断幕を引っ提げ、一風変わった演技で臨む鹿児島実業の男子新体操は、今年も要注目だ。

◇インターハイの新体操は6日から2日間に渡り熱戦が繰り広げられる。今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。

(平野 貴也 / Takaya Hirano)

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