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桐光学園、悲願のインハイVの理由 「西川頼み」を脱し、晴らした1年前の雪辱

11人のうち5人が1、2年生、チームに活力をもたらす存在に

 光ったのは下級生の頑張りだ。決勝の先発に名を連ねた11人のうち3年生は約半分の6人で、残りの5人は2年生と1年生だった。彼らは先輩の背中を追いかけるだけでなく、時には追い越すほどの勢いでチームに活力をもたらした。

 2回戦からの全5試合にフル出場したDF奈良坂巧(2年)はヘディングに絶対の自信を持つ大型センターバック。それだけでなく西川が「うるさいくらいの時もある」と苦笑するほどの大声コーチングでチームメートを鼓舞していく。1年次からインターハイに出場していた経験が土台となり、今年に入って順調に成長している。

 スタメン唯一の1年生MF岩根祐哉はテクニカルな左足で攻撃にアクセントを加えた。決して技術だけの選手ではなく、終盤までタフに戦える点も大きな魅力。鈴木監督が「あいつ(岩根)の感性に周りがついてこられるようになれば」と高く評価するレフティーは、高校入学から半年もしないうちに初優勝メンバーになった。

 奈良坂が「桐光の初優勝の一員になったということは歴史に名を残せたということ。でもこれからはピッチ内外で注目を浴びるので、強い桐光で在り続けないといけない」と早くも先を見据えれば、岩根も「試合に出場できない3年生や、神奈川県に残っている3年生もいる。先輩の分までしっかりプレーするという責任があった。大会を通して優勝するチームの雰囲気や活動を肌で感じられた経験を、冬の選手権や来年のインターハイに生かしていきたい」と胸を張った。

 初の全国タイトルの余韻に浸っていられるのはわずかな時間だけ。鈴木監督は「インターハイ経由選手権を掲げている。選手権の借りは選手権でしか返せない」と語気を強める。大津(熊本県代表)に0-5という屈辱の大敗を喫した昨年の選手権は一生忘れない。西川だけではなく組織としても強い桐光学園は、全国初タイトルというこれ以上ない追い風を得て、今度は冬の選手権でのリベンジを目指す。

◇インターハイのサッカーは7月26日から8月1日まで熱戦が繰り広げられた。今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。インターハイ全30競技の熱戦を無料で配信中。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。

(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

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