大躍進の北陸が13年ぶり決勝 主将の一喝でミラクルチームに変貌「崩壊危機あったが…」
若者の変化は、誰にも予測がつかない。片方のヤマは、大方の予想通りに優勝候補が勝ち上がったが、もう片方のヤマではサプライズが起きた。全国高校総体のバスケットボールは、1日に準決勝を行い、男子は福岡第一(福岡)と北陸(福井)が決勝に進んだ。
準決勝で報徳学園撃破、「1回戦負けの雰囲気」から快進撃
若者の変化は、誰にも予測がつかない。片方のヤマは、大方の予想通りに優勝候補が勝ち上がったが、もう片方のヤマではサプライズが起きた。全国高校総体のバスケットボールは、1日に準決勝を行い、男子は福岡第一(福岡)と北陸(福井)が決勝に進んだ。福岡第一は、昨冬のウインターカップ優勝校。U-18日本代表の河村勇輝(3年)と留学生のクベマ ジョセフ スティーブ(3年)、河村とツーガードを組む小川麻斗(3年)の3人が主力として残っており、優勝候補の筆頭だ。対する北陸は、強豪校を次々と撃破してきた。初戦で市立船橋(千葉)に接戦で勝利すると、2回戦で東海大諏訪(長野)、3回戦で八村塁(ウィザーズ)の母校である明成(宮城)も撃破。準々決勝では延岡学園(宮崎)、準決勝で報徳学園(兵庫)も破り、ついに決勝まで駒を進めた。
北陸の陣頭指揮を執る重野智紀アシスタントコーチは「鹿児島に来てから、チーム崩壊の危機があったが、3年生がミーティングをして、普段は長いミーティングをしない私も加わって、控えの1年生も全員集まって話し合いをした。それで、さあ行くぞという雰囲気になって、これは変化するんじゃないかと思った」と開幕直前にチームがまとまる出来事があったことを打ち明けた。北陸は、身長182センチで内、外の両方で点が取れる小川翔矢(2年)や、キレ味のあるドライブで切り込む土家拓大(2年)ら2年生に力のある選手が揃う。しかし、あくまでもチームという組織の中心は、3年生だ。ところが、現地入り後の調整でも試合に集中できていない選手がおり、主将の伊藤瑠偉(3年)が一喝したという。
伊藤は「消極的な3年生が多くて、練習試合でも全然声が出ていなかった。このままだったら1回戦で負けるんじゃないかという雰囲気になっていて、僕は悔しかったし、情けなくて泣いてしまいました。でも、バスケットとは無関係の話をしていたり、移動で疲れてしまったと態度に出したりしている選手もいて『いつまでも、ヘラヘラしてんな』と言いました」と振り返った。全国大会という大舞台が直前に迫れば、誰でも集中するものだと思われがちだが、若者の気分は移ろいやすい。少しでも緩みが出れば、あっという間に緊張感の結束は壊れてしまう。だが、伊藤はバスケットで勝負をするために鹿児島へやって来たという強い思いを持っており、仲間にぶつけた。