「あの試合は忘れられない」文武両道の県立女子高バレー部に活を入れた「1点」の重み
1年前の悪夢から、ようやく解放された瞬間だった。6月22日に行われたインターハイ・バレーボール群馬県予選決勝で、高崎女子高は強豪・高崎商大附と26-24、25-23と競り合った末、2-0で破って見事優勝。38年ぶり3度目のインターハイ出場を決めた。この瞬間を、これまでチームを支えてきた森和佳葉(3年)は「うれしいよりもホッとしました」と振り返る。
群馬県内屈指の進学校、高崎女子高が38年ぶりに掴んだインターハイへの切符
1年前の悪夢から、ようやく解放された瞬間だった。6月22日に行われたインターハイ・バレーボール群馬県予選決勝で、高崎女子高は強豪・高崎商大附と26-24、25-23と競り合った末、2-0で破って見事優勝。38年ぶり3度目のインターハイ出場を決めた。この瞬間を、これまでチームを支えてきた森和佳葉(3年)は「うれしいよりもホッとしました」と振り返る。
2018年のインターハイ県予選決勝。高崎女子高はインターハイの常連、西邑楽を相手に第1セットを先取した。第2セットを奪われたものの、迎えた第3セットは逆転に次ぐ逆転で24-22に持ち込み、悲願の優勝まであと1点と迫った。「選手も私も応援席も、会場全体が『これは高女が勝つな』という雰囲気になりました」。チームを指導する石原裕基監督は苦笑いしながら、こう続けた。「そう甘くはなかったですね」。
マッチポイントを握りながら自分たちのミスで決めきれず、あっという間に4点を連取され、まさかの大逆転負け。1点がこれほど重く感じられたことはなかった。自らのスパイクが外れて同点としてしまった丸山理(あや・現3年)は「ミスをしたのが自分。1点が取れなくて…。それで先輩と一緒にインターハイに行くことができなくて悔しくて、しばらく落ち込みました。あの試合は忘れたくても忘れられません」と話す。
だが、落ち込んでいるだけでは何も始まらない。主将となった丸山を中心に、「同じ失敗は2度としない」「インターハイに出て勝つ」という目標を掲げ、新チームが立ち上がった――。
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高崎女子高といえば県内屈指の公立進学校だが、バレーボール部のほか、新体操部、バスケットボール部、山岳部なども強豪校に名を連ねるなど、スポーツも盛ん。今年の群馬県高校総体では8年ぶり12度目の総合優勝を果たした。そんな文武両道を地で行く女子高に、保健体育の教員を務める石原監督が赴任したのは2017年のことだった。
学生時代は選手として、教員になってからは指導者としてバレーボールとともに歩んできた石原監督の目に、高女バレー部は「常にベスト8入りする強豪」と映っていたが、同時に「ベスト8の壁を越えられずにいる学校」でもあった。越えられない理由は何なのか。着任後に受けた印象は「選手がよくも悪くも物事を割り切っている感じでしたね。最後まで諦めないとか、できることをやり尽くすとか、そういう泥臭さに欠けている部分がありました」と話す。