女子100m初優勝の裏に敗退したライバルへの想い 熊本中央・山形愛羽は「小針さんの分も日本一を」
陸上の全国高校総体(インターハイ)第2日は3日、札幌市厚別公園競技場で100メートル決勝が行われ、男子は福岡(東福岡)の黒木海翔(3年)が10秒73(向かい風2.7メートル)、女子は熊本中央(熊本)の山形愛羽(3年)が11秒92(向かい風2.9メートル)で優勝した。
陸上インターハイ第2日・女子100メートル決勝
陸上の全国高校総体(インターハイ)第2日は3日、札幌市厚別公園競技場で100メートル決勝が行われ、男子は福岡(東福岡)の黒木海翔(3年)が10秒73(向かい風2.7メートル)、女子は熊本中央(熊本)の山形愛羽(3年)が11秒92(向かい風2.9メートル)で優勝した。
武器は後半。自分を信じて山形は焦らなかった。スタートはやや遅れ気味だったが、「後半に絶対に追い越す。どんな展開でも追い越せる」と言い聞かせ、ぐんぐん加速。60メートル付近で先頭をとらえにかかり、勝利を確信した。向かい風2.9メートルながら11秒台のタイムには価値がある。
「今季は自分のレースは向かい風が多かったけど、その中で11秒台を出せてうれしかったし、インターハイでメダルを獲ったことがなかった。なので、金メダルを獲ることができてうれしいです」。悲願の日本一。誰よりも先にゴールに飛び込むと、両手を突き上げて喜びを表現した。
本当は決勝で戦いたかった相手がいた。昨年1年生で2位に入り、今年は個人3冠を狙っていた富士市立(静岡)・小針陽葉(2年)が準決勝で敗退。前日に右太ももを痛め、万全ではない状態だった。これまで何度も大舞台で戦ってきた間柄。「後悔は小針さんと戦って勝ちたかったこと」と明かす。
「脚が痛そうで。(準決勝敗退は)びっくりしたけど、絶対に悔しいと思う。なかなか話す機会はないけど、今まで一緒に頑張ってきた小針さんの分も頑張って日本一を獲ろうと思って走りました。次に戦うとしたら国体。絶対に合わせてくると思うので、私は(インハイと)2冠を達成したいです」
そんなライバル選手を想う優しさも「天使のように、みんなから愛される人になるように」と込めてつけられた名前を体現している。
「いつもお世話になっている家族や先生に金メダルをかけて、喜んでもらいたいという気持ちがあった。なので、金メダルをかけて、笑ってインターハイを終われるようにと思って、今までつらい練習もたくさんあったけど、頑張ることができました」。そう言って、にっこりと笑った。
(THE ANSWER編集部)