【サッカー】阪南大高を勝利に導く2得点の主将 しかし指揮官が「ようわからんですね」と嘆くワケ
濱田監督が求めるのはさらに上のレベル
3年生になって臨んだ1回戦、活躍したのは、後半になって右MFにポジションが変わってからだった。FWでは、なかなかパスを引き出せず、躍動できなかった。濱田監督は、目の前の局地的な打開力は評価済み。周りとの連係で長所をさらに生かすプレーを求めているが、その点で評価できなかったのだ。
FWでゴール前にいれば、360度の方向から相手に寄せられる。しかし、サイドに張り出せば、相手が寄って来る角度は180度に限定され、フリーでボールを持って攻めるのに都合が良い。人数をかけて攻めるときや、狭いスペースしか与えられないときに、味方とどう連動して、良い状態でボールを持つか。サイドに張り出さなければ解決しないのでは、将来性が見込みない。
だからこそ、濱田監督は「あれだけでは、頭打ち。あれを生かして、ほかをどうするか、大学で学んでほしい。同じことをやるチームでは、彼の幅が広がらない。今のうち(の勝利を目指しながらの育成)ではこれ以上広げられない。それができれば、次のステージが見えてくる子」と今後の進化に期待を寄せた。大きく成長するために、味方との連係を覚えろ――そんな期待があるから、ゴールシーンも気に入らなかったという。
「私は、外(でフリーになっている味方)にパスを出せと言ったんですけど。だから、決まっても、くそっ! 腹立つなあと思いましたね」
チームとしての勝利を目指しながら、選手個々の成長を見越して指導をしなければならない。勝っただけでは喜べず、内容が良いだけでも喜べず。インターハイでは、育成年代の多くの指導者が、大変なタスクを負いながら、チームを率いている。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)