「プリンセス・メグ」と呼ばれて 34歳、栗原恵の今 「8割引退」から現役続行の理由
全国高校総体(インターハイ)の女子バレーボールが2日に三重県を舞台に幕を開け、熱戦が繰り広げられている。真夏の高校日本一決戦に忘れられない記憶を持っている元日本代表アタッカーがいる。栗原恵(JTマーヴェラス)。山口の三田尻女子(現・誠英)時代に3年連続出場し、1年生から2連覇を達成。日本バレー界を代表するヒロインへの階段を駆け上がった。
「8割引退」を覆した“空白の4か月”、元全日本アタッカーが想う現在と未来
全国高校総体(インターハイ)の女子バレーボールが2日に三重県を舞台に幕を開け、熱戦が繰り広げられている。真夏の高校日本一決戦に忘れられない記憶を持っている元日本代表アタッカーがいる。栗原恵(JTマーヴェラス)。山口の三田尻女子(現・誠英)時代に3年連続出場し、1年生から2連覇を達成。日本バレー界を代表するヒロインへの階段を駆け上がった。
そんな元日本代表アタッカーは今なお、現役を貫いている。今年、Vリーグの日立リヴァーレから退団後、一時はキャリアで初めて“空白期間”を過ごし、「8割引退」まで傾いたという。それでも、コートに復帰するに至った理由とは何だったのか。「THE ANSWER」のインタビューに応じ、後編では「34歳、栗原恵の今」の思いを告白した。
◇ ◇ ◇
「プリンセス・メグ」と呼ばれた元日本代表アタッカーは今、34歳になった。
「ちょっとおもしろがられてるのかもしれないけど、今、チームの選手が『プリンセス』って呼んでくれてるんです。凄く時差があるんですけど。今でも呼んでもらえるんだという驚きもあって……まあ、もうネタですよね。いじられても何しても、それがおもしろければいいのかなって」
飾らない言葉と表情で、快活に笑った。栗原恵。強烈なスパイクと、アイドルのような異名とともに一時代を築き、2度の五輪を経験したバレー界のヒロインは今なお、コートに立ち続けている。5月。VリーグのJTマーヴェラスに入団発表。それは、バレー界にとって大きなニュースとなった。なぜなら、10歳でバレーの虜になって以来、初めての“空白”を過ごしていたからだ。
そこから遡ること3か月前。2月28日、所属先の日立リヴァーレから1通のリリースが発表された。栗原恵、退団――。4年間在籍したチームからは引き留めを受けた。しかし、今後は未定。悩みに悩んだ決断の裏で何が起こっていたのか。
「一生懸命に練習をやって試合になかなか出られず、“ベテランとしての自分”と“選手としての自分”のバランスを凄く考える4年間でした。チームのサポートと、出られなくても常に準備し続ける狭間で葛藤していた部分はありました。いい準備をしている自信はあっても報われず、この努力を続けていっていいのかと考えました。その時、練習では自分に対して嘘をつかないと貫いて、やりきっていた。コートの中でやるべきことはすべてやってきたと納得できる部分があったので『今がこのチームの引き際なのかな』と考えて、日立は終わりにしようと」
22歳で左足有痛性分裂種子骨障害を発症して半年間プレーから遠ざかり、以来、度重なる怪我と闘い、そのたびに乗り越えてきた。しかし、体は動いているのに、コートに立てない日々が続いた。気持ちをリセットしたかった。