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平日は練習1時間 競技経験ゼロの弓道部監督が、文武両道校を強豪に育てられたワケ

女子が6年ぶり3度目のインターハイ出場となる清真学園弓道部【写真:荒川祐史】
女子が6年ぶり3度目のインターハイ出場となる清真学園弓道部【写真:荒川祐史】

「引率だけしていればいい」と言われて始まった監督生活

 実は佐久間監督自身に弓道経験は全くない。日体大の水泳部出身で、卒業後は別の公立校で常勤講師、非常勤講師などを務めていたが、27歳の時に清真学園の体育科の教員として採用されたことが転機だった。

「仕事がなかったので、転々としていました。学校の常勤講師や非常勤講師は、夏場などは仕事がありません。監視員などは期間が短く、どうしてもお金がもらえない時期がある。その間はアルバイトとして、ゴルフ場のキャディーや、ギター教室の講師をしたこともありました。教員をあきらめて平成3年に生活協同組合に就職したのですが、その時に、清真学園から採用試験を受けてみませんか? という話があり。ダメもとで受けさせていただきました。その時に部活動顧問の経験を聞かれ、ここぞとばかりに経験のある部活を全てアピールし、名ばかりだった弓道部顧問の経験もお話しさせていただきました」

 結果的にはその“アピール”が実り、同校に採用され、弓道部を任されることとなった。すでに弓道ではある程度知られた学校で、文字通りゼロからのスタートで苦労もあったという。「25年は早かったですね」と当時を振り返った。

「最初に『先生は引率だけしていればいい』と言われた。正直びっくりしました。前に顧問を務めていた県立校とは流派が違ったのがあるし、来たばかりの僕の指導を受け入れたくないというのがあったと思います。『あなたに教えてもらおうとは思っていない』ということを遠回しに言ったんでしょう。むっとしたのは事実ですね」

 衝撃的ともいえる弓道部顧問としてのスタートだったが、愚痴を言っていても仕方がない。佐久間監督自身は部員たちに、まず認めてもらうことから始めたという。

「自分が知識をため込まなければいけない。情報が欲しい。だから(高体連の)役員を始めました。色々な人に話を聞ける。経験ができる。当時、学校の敷地の隣には、系列の短大があって、そこにいた先生、今は筑波大の弓道部の監督を務めている方に教わりました。教わりながら、徹底して調べていたのが記録でした」

 着目したのは記録、データだったという。それには日体大時代の水泳での経験が生きている。

「水泳的な練習法から出てくるのですが、ベストタイムが例えば1分の選手が、50秒台を出すためにどうするかを考える。50メートルを20本泳ぐのか、100メートルを10本泳ぐのか……。色々とトレーニングの仕方を変えていきますよね。これを弓道に応用するとどうなるのかと。弓道は水泳のタイムほど細かい目安は分けられないのですが、練習の数としては組み立てられる。例えば1人12射引く試合があるとすれば、練習でも『4射を3回』のペースで区切ってやるなど、試合からさかのぼって決めるようにしました。ある程度やっていくと、子どもたちも覚えて自然にやっていきます。ほかの方法も試しながら、どんどん練習のバリエーションも増えていく。そうすると彼らの力量に任せられるようになる。人数や、それぞれの力量に合わせて自分たちで何が必要かを考えて下さいね、となります」

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