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桐蔭学園が「負け続けてきた」東福岡と激突 高校No.1司令塔が目指すのは初の単独V

元母校の東海大大阪仰星戦での御所実PR島田(手前左)【写真:出村謙知】
元母校の東海大大阪仰星戦での御所実PR島田(手前左)【写真:出村謙知】

常翔学園は選抜予選で敗れた御所実と激突

 ベスト4の中で唯一、春の選抜に出場していないのが常翔学園(大阪第2)だ。

 選抜予選を兼ねる近畿大会の準々決勝で天理に14-50で大敗した後、第5代表を決める決定戦でも敗戦。その第5代表決定戦で敗れた相手が5日の準決勝で対戦する御所実業(奈良)だった。その時のスコアは0-7。「あのゲームがチームの転機だった」と野上友一監督は言う。

「まだ時間があったのに、PGを狙って、次のプレーでひっくり返すことを考えればよかったのにFWで無理に攻めた。『もっとラグビーを勉強しないといけない』と、そこからみんなでつくってきた。このチームはギリギリまでみんながんばってやってくれる」

 苦しい時期を経験してきたチーム故か、全国大会に入ってからの勝負強さは特筆すべきものがある。

 3回戦の中部大春日丘(愛知)戦では19-15と4点差に追い上げられた後の10分間をほぼ自陣で過ごしながらも粘りのディフェンスで守り切り、準々決勝で対戦した春の近畿王者である京都成章(京都)戦では、終了6分前に逆転トライ許した後、残り時間1分で得た自陣10メートル付近のPKからミスを恐れない大胆なアタックを10フェイズ以上続けて、最後WTB生駒創太郎が再逆転となる決勝トライを決めて、劇的な勝利を収めた。

「元々、攻撃力が武器だったのに、春は0点で負けて、FWとBKのアタック力を上げる努力をしてきた。ここ最近になって完成してきた。取りきれる力ついてきている」

 準々決勝で絶体絶命の状況に追い込まれても、「思いっきりいくぞ。ミスを恐れるな」とチーム全体に声をかけ続けたという為房慶次郎主将はチームの急成長に手応えを感じている。

「1回負けているんで、次は絶対に負けられない。やり返す」(同主将)

 春の段階で奈落の底に落とされた相手である漆黒の軍団相手に、チームとして成長した姿を花園の大舞台で披露して、7年ぶりとなる決勝へと駒を進めるつもりだ。

 そんな常翔学園を迎え撃つ御所実業は4チームの中で唯一、全国制覇の経験がない。つまり、ここまで来るとどの試合もリベンジ戦と言えなくもないわけだが、高校卒業後にパナソニック入りが発表され、話題を集めているPR島田彪雅にとって、準々決勝で対戦した東海大大阪仰星は、元々、中学卒業後いったんは入学した高校だった。

「いい経験ができた。楽しかった」と語る島田にとって、14人で戦わなければいけない時間帯もあった苦しい展開ながら、相手にスコアを許さなかった試合(最終スコアは14-0)はラグビー人生の中でも大きな意味を持つ一戦になったことは間違いないだろう。

 5日の準決勝は、第1試合(12時45分)常翔学園―御所実業、第2試合(14時30分)桐蔭学園―東福岡の順番で行われる。

(出村 謙知 / Kenji Demura)

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