「やんちゃ」を変えた妹の死 日大藤沢FW三田野が描いた“2人分”のプロの夢
試合後、遺骨の一部が入ったネックレスをつけて会場を後に…
以前は、気が移りやすいために、サッカーに集中できず、学校で注意を受けたこともある。三田野は「サッカーに集中していないと、邪念を捨てられない」と言って笑ったが、サッカーに集中したときに何をすべきかは、しっかりと学んできた。中学時代は、アルゼンチン人指導者が率いるエスペランサのジュニアユースでサッカーを習った。アルゼンチン研修も3度参加。プロになるための競争とは何かを肌で感じた。オルテガ監督からは、何度も繰り返して「とにかく諦めなければ勝てるんだ」と言われてきた。
三田野は、言う。
「真剣にプロを目指している。(試合に出られないときも)ここで諦めていたら、プロにはなれない。今は耐えるときだと言い聞かせて、頑張っていた。(エスペランサは)諦めた顔をしたら試合から外される、球際で怯えたら外される、勝ちにこだわるチーム。今は(佐藤)監督から『お前が頑張らなければ、チームの士気が下がる』と言われて、自分の気持ちを仲間に伝え、チームを盛り上げてやっていけたらと思っている」
三田野は、試合を終えると、純さんの遺骨の一部が入っているというネックレスを身につけ、会場を後にした。得点は、わずかなチャンスにかけた一撃だった。インターハイで活躍し、プロへの道を切り拓く――。2人分の夢を追う兄は、まだ諦めていない。
◇インターハイのサッカー男子は29日に幕を開け、7日間にわたって熱戦が繰り広げられる。決勝は8月4日。なお、今大会は全国高体連公式インターハイ応援サイト「インハイTV」を展開。全30競技の全試合をライブ配信し、インターネット上で観戦、応援が可能となった。また、映像は試合終了後でもさかのぼって視聴でき、熱戦を振り返ることができる。
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平野貴也●文 text by Takaya Hirano