「やんちゃ」を変えた妹の死 日大藤沢FW三田野が描いた“2人分”のプロの夢
たった一つのことに夢中になる。それは、簡単なようで難しいことだ。特に、若者は気が移りやすい。しかし、一方で、若者は一瞬で目覚ましく変わる。サッカー小僧にも同じことが言える。
平野貴也●写真 photo by Takaya Hirano
インターハイ・サッカー2回戦、途中出場で同点弾「これがオレだという気持ちに…」
たった一つのことに夢中になる。それは、簡単なようで難しいことだ。特に、若者は気が移りやすい。しかし、一方で、若者は一瞬で目覚ましく変わる。サッカー小僧にも同じことが言える。
全国高校総体(インターハイ)は30日、サッカー2回戦で日大藤沢(神奈川)が2-1で昌平(埼玉)に逆転勝利を収めた。
精密機械のように守備の隙を確実に突いてくる相手の攻撃に苦しめられた日大藤沢は、前半に先制を許して苦境に立たされた。ところが、後半に訪れた決定的なピンチの連続をしのぐと、後半23分に投入されたばかりのFW三田野慧(3年)が同点ゴールを決め、チームに勢いを付けた。
1分後には左からのクロスを相手がクリアし損ねてオウンゴール。あっという間の逆転で勝利を手繰り寄せた。試合は、一度終了した後に試合が30秒ほど再開されるという珍事が起きたものの、スコアは動かず。圧倒的なパスワークを誇る昌平は優勝候補にも挙げられるチームだっただけに、日大藤沢が見せた意地の一撃は、よりインパクトがあった。
ファーストプレーで同点弾を決めた三田野は「(今季は)神奈川県1部リーグの開幕からスタメンだったのに、柏木純(3年)にポジションを取られた。全国大会出場を決める1点もギブソン・マーロン(3年)に決められ、自分の出場機会が少なくなっていた。でも、最初の機会で集中して(ゴールを)決めて試合の流れを変えてやろうと思って試合に入ったので(実際に決めて)これがオレだという気持ちになれた」と胸を張った。