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「もう泣きそうで…」高校サッカー客席から出現 亡き仲間と共に…掲げたサプライズの横断幕

第104回全国高校サッカー選手権は29日、首都圏8会場で1回戦が行われた。奈良育英(奈良)は、矢板中央(栃木)を2-2からのPK戦(3-2)で下し、2回戦へ進出。チームはこの夏、部員2人を病と事故で亡くす悲劇に見舞われた。この日は、スタンドが一体となってチームを後押し。OBや関係者によるユニホームカラーの青で染まった客席では試合前、選手の心を動かす光景が広がった。

矢板中央と対戦した奈良育英イレブン【写真:橋本啓】
矢板中央と対戦した奈良育英イレブン【写真:橋本啓】

第104回全国高校サッカー選手権

 第104回全国高校サッカー選手権は29日、首都圏8会場で1回戦が行われた。奈良育英(奈良)は、矢板中央(栃木)を2-2からのPK戦(3-2)で下し、2回戦へ進出。チームはこの夏、部員2人を病と事故で亡くす悲劇に見舞われた。この日は、スタンドが一体となってチームを後押し。OBや関係者によるユニホームカラーの青で染まった客席では試合前、選手の心を動かす光景が広がった。

 今夏、信じ難い出来事が立て続けに起きた。

 今年7月、エースで10番を背負った森嶋大琥(ひろと、3年)さんが、白血病によりこの世を去った。そこから間もなく、翌月に2年生の東愛流(あずま・あいる)さんが事故で他界。梶村卓監督は当時を「練習に出るのが難しい状況もありました」と険しい表情で明かし、精神的ショックの大きさをうかがわせた。

 それでも、メンバーは苦境から這い上がった。守護神で主将の内村篤紀(3年)を中心に、全員が「大琥と愛流のために全国へ行って勝つ」という共通の目標を掲げて、矢印を一つに。ベンチには2人がつけていた10番と13番のユニホーム、遺影が置かれ「ミーティングもそうですし、もういろんなところで、学校じゃない場所で練習するときも、ユニホームと写真を持って行って、常に一緒に活動していました」(梶村監督)

 晴天が広がった選手権の初戦、会場となったゼットエーオリプリスタジアム(千葉)の客席には保護者やOB、ベンチ外メンバーたちが集結。大声援を響かせたスタンドから試合前、突如現れた横断幕には「大琥・愛流と共に闘え!!」のメッセージ。初戦のベンチ入り登録メンバーには知らされなかった、サプライズだった。

「愛流、大琥の応援歌も歌ってくれていて、正直もう試合前から泣きそうで。それが試合中、しんどい時に気持ちの部分につながりました。メンバー外になった人たちと、OB、あとは冬で引退した選手、夏のインターハイで区切りをつけた選手たちが作ってくれたのかな」。主将の内村はそう言って顔をほころばせた。

 2-1でリードして迎えた後半アディショナルタイム、奈良育英は同点ゴールを許し、PK戦へ。土壇場での失点に選手たちは頭を抱えたが、ここから底力を見せる。PK戦では3人目から3連続で失敗したが、相手も2人目から3連続で失敗。GK内村の好守も光り、歓喜の瞬間を迎えた。

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