福岡大大濠を連覇に導いた“荒療治” 奮起した3年生、先の見えぬ暗闇でも続けた努力の結晶

大きな転換点となった指揮官からの“無言のメッセージ”
大きな転換点になったのが、11月3日のウインターカップ福岡県予選。ライバルの福岡第一に70-80で敗れ、結束力の差を痛感させられた。精神的な柱がおらず、受け身になっての敗戦。「非常に能力の高い1、2年生を擁しているが、勝負事はただ能力があれば勝てるという甘い世界ではない」。片峯監督は3年生に精神的支柱へと成長してもらうために“荒療治”に踏み切った。
5日後の「U18日清食品トップリーグ2025」東山戦。片峯監督はあえて3年生を帯同させなかった。高校に残り、画面越しに試合を客観視した最上級生たちは指揮官の“無言のメッセージ”をしっかりと汲み取った。「厳しい檄をきっかけに、3年生が学年として一丸となれた」と榎木。球際の執念やコミュニケーションの欠如が敗因と分析し、練習中から意識して取り組むよう3年生で声かけした。
榎木は「予選で負けてから、本戦までの期間で大きく成長できた。悪い時間帯が続く中でも、3年生が中心となって声かけし、絶対に崩れないようにとゲームキャプテンとして心がけてきた。最後まで、試合に絡むメンバーが自分の役割を遂行できたのが日本一に繋がったと思う」と胸を張る。
片峯監督は明かす。「3年生たちが『自分たちは1、2年生ほど能力はない。大きなピースはあるけど、僕たちがパズルの隙間を埋めないと結束して臨めない』と言ってくれた」。脇役も厭わない真面目でひたむきな先輩の姿を見た下級生からは「3年生を勝たせたい」という発言が増えた。「上手に融合して、みんなが勝利のためにそれぞれのピースになってパズルが完成した」と指揮官は喜んだ。
連覇を狙う名門の重圧。司令塔の榎木は、責任感のあまり逃げたくなることもあったと打ち明ける。1~3月はミスで交代させられることも。「どれだけ努力しても結果が出ない。ずっと暗闇の中にいる感じで1年間過ごしてきた」。それでも投げ出さず、「誰よりも練習してきた」と自負するほど汗を流し続けた。迎えた決勝は3点シュート6本を含む両軍最多の22得点。最後の最後で努力が実を結んだ。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
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