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天国の友へ…既読にならぬLINE「今日、勝つよ」 悲劇を乗り越え、選手権で“約束の1勝”

第104回全国高校サッカー選手権は29日、首都圏8会場で1回戦が行われ、奈良育英(奈良)は、矢板中央(栃木)を2-2からのPK戦(3-2)で下し、2回戦へ進出した。主将のGK内村篤紀(3年)は、好守とリーダーシップを発揮し、チームを牽引。天国で見守る亡き仲間への約束を果たした。

好守でチームを勝利に導いた奈良育英の内村篤紀(中央)【写真:橋本啓】
好守でチームを勝利に導いた奈良育英の内村篤紀(中央)【写真:橋本啓】

第104回全国高校サッカー選手権

 第104回全国高校サッカー選手権は29日、首都圏8会場で1回戦が行われ、奈良育英(奈良)は、矢板中央(栃木)を2-2からのPK戦(3-2)で下し、2回戦へ進出した。主将のGK内村篤紀(3年)は、好守とリーダーシップを発揮し、チームを牽引。天国で見守る亡き仲間への約束を果たした。

 苦境にめげず、堂々と振る舞った。「どんだけ外しても僕が止めてやろうと思っていたので」。運命のPK戦。奈良育英は5人目のDF田村颯良(3年)が決めれば勝利という局面で、まさかの失敗。「外したなっていう気持ちじゃなくて、もう1個止めようっていうプラスの気持ちになっていたので、それが良かったのかな」

 6人目、奈良育英はFW堀大輔(3年)が成功。矢板中央はFW竹内麻廷有主(2年)のキックがわずかに左へ逸れた。ガッツポーズを見せた内村のもとに仲間たちが駆け付け、歓喜の輪が広がった。

 内村は奈良育英で、1年生の頃から選手権を経験。今年はキャプテンとして、部員数90名のチームを引っ張る立場になった。

 信じ難い悲劇に直面したのは今年7月、エースで10番を背負った森嶋大琥(ひろと、3年)さんが、白血病によりこの世を去った。そこから間もなく、翌月に2年生の東愛流(あずま・あいる)さんが事故で他界。

「グラウンドに出られない、練習に出られないっていう選手はやっぱりいて、その中でもキャプテンとして一番前でやらないといけないなっていうのは、その時一番考えました」

 エース格だった森嶋さんは、「サッカーだけではなくて、人間性も含めて素晴らしい人間だった」(梶村卓監督)といい、困った時には頼れる存在だった。ムードメーカーだった東さんと、2人の仲間を失った悲しみは今でも消えない。

 それでも、チームは一丸となった。ベンチには2人がつけていた10番と13番のユニホーム、遺影が常に置かれた。天国で見守る仲間を全国へ――。一人一人の思いはつながった。

「全員が大琥と愛流のために全国に行って、勝つっていうことを思っていたので、チームが一つになっていけたと思う。それが全国の出場につながったと思いますし、今日の勝ちにつながったのかなと」

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