甲子園で後逸、涙「ミスをして強く…」 異例の応援団長→主将、託された“10”に「幸せな4年間」――神奈川大・吉岡道泰
高校・大学野球の秋の日本一を決める明治神宮大会(神宮)は14日から6日間、熱戦が繰り広げられた。大学の部で8強入りした神奈川大(関東5連盟第2)の主将・吉岡道泰外野手(4年)にとっては現役最後の大会。高校では甲子園で決勝点に繋がる後逸、3年夏の地方大会決勝での劇的満塁弾、大学では応援団長など、多くの浮き沈みを味わった苦労人が最後に託されたのは主将だった。現役最後の日、野球人生に思いを馳せた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

多くの浮き沈みを味わった苦労人 ドラマチックな野球人生に幕
高校・大学野球の秋の日本一を決める明治神宮大会(神宮)は14日から6日間、熱戦が繰り広げられた。大学の部で8強入りした神奈川大(関東5連盟第2)の主将・吉岡道泰外野手(4年)にとっては現役最後の大会。高校では甲子園で決勝点に繋がる後逸、3年夏の地方大会決勝での劇的満塁弾、大学では応援団長など、多くの浮き沈みを味わった苦労人が最後に託されたのは主将だった。現役最後の日、野球人生に思いを馳せた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
ドラマチックな野球人生に幕が下りた。
午後6時51分。日が落ちて寒々とした神宮の空に、試合終了のサイレンが鳴り響く。17日の八戸学院大との2回戦。神奈川大は2-6で敗れた。列の先頭に並んだ吉岡は深々と一礼。相手と笑顔で抱き合い、健闘を称え合う姿がナイター照明に照らされた。「伝統のある青いユニホームの10番を着て野球をやらせてもらって、幸せな4年間でした」。“神大の背番号10”は爽やかにグラウンドに別れを告げた。
専大松戸(千葉)3年春、初めての甲子園で苦い経験をした。中京大中京(愛知)との1回戦、0-0で迎えた7回だった。2死二塁、浅いライナーがレフトへ。左翼手・吉岡は前進して決死のダイブを試みるも触れず、白球が無人の外野を転々とする間にランニング2ラン本塁打に。これが決勝点となり、悔し涙に暮れた。
「センバツでミスをしてから強くなった」。それから4か月後、高校最後の夏。木更津総合との千葉大会決勝、6-6で迎えた延長13回に打席が回ってきた。無死満塁で振り抜いた打球は右翼スタンドへ――。今度はチームを甲子園に導く、劇的サヨナラ満塁弾。泣きながら生還する姿は、多くの高校野球ファンの胸を打った。
いくつかの涙の意味を知った3年間を経て、神奈川大学リーグの強豪・神奈川大に進学。しかし、高校3年時に肩を脱臼、肘も負傷するなど体はすでに満身創痍の状態だった。悩んだうえでの現役続行。「野球は大学で辞める」。覚悟を決めて進んだその道も、やっぱり簡単ではなかった。
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