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「本気で野球やるなら他大学目指すので」 虚しい本音から…40年目で初全国、実った部の意識改革――杏林大野球部

試合中、溝口監督が加わり声を掛け合う杏林大の守備陣【写真:山野邊佳穂】
試合中、溝口監督が加わり声を掛け合う杏林大の守備陣【写真:山野邊佳穂】

「学生たちは絶対に諦めなかった」 意識改革のきっかけとは

 転機は4年前。グラウンドのある八王子キャンパスに保健学部が移転され、野球部員の大半が在籍。授業と練習場所が離れ、移動に時間を要す従来の環境が一気に改善され、室内練習場も建設された。

 昨年1月には東京六大学の名門・立大で長年指揮を執り、日本一も経験した溝口智成監督が就任。選手は花巻東、浦和学院、常総学院など強豪校で揉まれた素材も少なくない。「学生の心を掴むのが本当に上手い」と絶賛する指導のもと、チームの士気は一段と高まった。

 松本悠希と岩井拓巳(ともに4年)の投手2本柱を擁し、“最強世代”で挑んだ今季。春はメンバーの怪我人が続出し、苦しい戦いが続いた。リーグ戦は4位。「秋優勝」を合言葉にやってきた。

 9月28日に行われた創価大2回戦。3-1で迎えた9回、後の阪神ドラフト1位・立石正広内野手(4年)に同点2ランを浴びた。「ショックで立ち直れなくて、ベンチに座り込んでしまった」と内藤部長。ただ、ナインは違った。

「(鈴木悠太)主将のキャプテンシーが非常に強い。窮地に陥っても粘り強い。学生たちは絶対に諦めなかった」。タイブレークの末に延長11回5-4で勝利。今はもう、学生たちの方が頼もしくなった。

 連勝で勝ち点を獲得したことで、最終的に勝ち点4で並んだ創価大を勝率で上回り、遂にリーグ初優勝を達成。勢いそのままに関東地区選手権も優勝し、神宮に辿り着いた。

 1勝には惜しくも届かなかったが、選手たちが流した涙は誰よりも本気になった証し。溝口監督は賛辞を送った。

「杏林大学野球部の新しいページを作ってくれた選手たちに感謝していますし、敬意を示します。よく頑張ってくれた」

 この秋、歴史の針は確かに動き出した。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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