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兄はドラフト候補の韋駄天 野球から転向で全国へ「自慢の弟でありたい」5人兄弟末っ子スプリンターの陸上物語――愛知産大三河・杉山輝

「きょうだいの自慢の弟でありたい」偉大な兄、姉に負けじと杉山は走り続ける【写真:荒川祐史】
「きょうだいの自慢の弟でありたい」偉大な兄、姉に負けじと杉山は走り続ける【写真:荒川祐史】

姉の助言、兄の活躍を成長の糧に「きょうだいの自慢の弟でありたい」

 とはいえ、すぐに通用するほど陸上も甘くない。「去年は地区大会も通過できず。1、2年生の冬季練習で本数ばっかり走ってもしょうがないと分かった」。遠い全国との距離を測り、日々を見直した。

「一番速い人はどうやっているんだろうと、ネットで調べて……」。ウサイン・ボルトの練習法を研究し、腸腰筋の強化に乗り出した。

 さらに姉の美貴さんにスタートの動画を送り、「ここは良いけど、このポイントは修正して」とアドバイスも逐一受けて強化。昨秋には兄の諒さんが大学のリーグ戦で首位打者とベストナインを獲得したことも刺激になった。

 そして、迎えた今年6月の東海総体で100メートル3位、200メートル2位に入り、2種目でインターハイ切符を掴んだ。

 タイムレース形式で行われた決勝も清水と同組に。10秒00が誕生したレースで力走し、自己ベストの10秒50(追い風1.7メートル)で総合18位。200メートルは21秒71(向かい風0.2メートル)の組3着で惜しくも予選敗退となったが、高校から始めた陸上で胸を張れる結果だ。

「兄(諒さん)とはどっちが足が速い?」と聞くと、「さすがに僕じゃないですかね」といたずらっぽく笑うが、家族への愛は深い。

「自分、家族が大好きなので。お父さん、お母さんの良い子どもでありたいし、きょうだいの自慢の弟でありたい。陸上ではお姉ちゃんが目標だし、いつかは日本代表になりたい」

 家族の背中を追い、高校から始まった末っ子スプリンターの陸上物語。この夏、忘れられない一行が加わった。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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