兄はドラフト候補の韋駄天 野球から転向で全国へ「自慢の弟でありたい」5人兄弟末っ子スプリンターの陸上物語――愛知産大三河・杉山輝
ホットスタッフフィールド広島で7月25日から5日間行われた陸上インターハイ。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、困難な環境の中で競技を続けてきた選手などさまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は男子100メートルの愛知産大三河・杉山輝(3年)。5人きょうだいで12歳上の姉・美貴さんは実業団まで活躍した短距離選手、4歳上の兄・諒さんは愛知学院大野球部で今年の大学日本代表にも選ばれたドラフト候補。家族想いの末っ子スプリンターが初のインターハイを駆けた。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

陸上・インターハイ 男子100メートル/愛知産大三河・杉山輝(3年)
ホットスタッフフィールド広島で7月25日から5日間行われた陸上インターハイ。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、困難な環境の中で競技を続けてきた選手などさまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は男子100メートルの愛知産大三河・杉山輝(3年)。5人きょうだいで12歳上の姉・美貴さんは実業団まで活躍した短距離選手、4歳上の兄・諒さんは愛知学院大野球部で今年の大学日本代表にも選ばれたドラフト候補。家族想いの末っ子スプリンターが初のインターハイを駆けた。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
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ハートは熱く、頭はクールに。3年生にして立った初めてのインターハイ。なのに、杉山輝は冷静だった。
男子100メートル予選7組。隣の6レーンには、この大会で10秒00の日本高校新を樹立することになる清水空跳(星稜2年)がいた。「どうせ、前に出られる。焦らずに行こう」。組み合わせが発表された時から決めていた通り、スタートから爆発的に加速した清水を横目に自分の走りを貫いた。フォームを乱すことなく、10秒69(向かい風1.1メートル)で組3着。着順で拾われ、決勝に駒を進めた。
「清水君は最初(スタートから)から違うんだな。同じ身長(164センチ)なのに何が違うんだろう」と苦笑いを浮かべたが、自分は自分。「風は悪かったけど、良いレース展開だった。昔だったらできていない『焦らず』をしっかりやれた」とプラン通りの展開に胸を張った。

大舞台でのメンタルの強さはきょうだい譲りだ。
野球をやっていた長男は次男とともにパーソナルジムを2店舗運営する経営者。長女の姉・美貴さんは中京大中京から中京大、実業団のデンソーと進み、各カテゴリーの全国大会に出場したスプリンター。
さらに、三男の兄・諒さんは愛知学院大野球部4年生で今年の大学日本代表にも選ばれたプロ野球のドラフト候補。驚異の韋駄天を買われ、7月に行われた日米大学選手権にも出場し、話題になったばかりだ。
ビジネスとスポーツで常に結果を求められる環境。「みんなメンタルが強い。結果を出すのが当たり前という感じ」と明かす。
そんな環境で育った末っ子が最初に追いかけたのは白球。チーム1、2の俊足で内外野どこでもこなし、中学時代は県大会準優勝も経験した。ただ、171センチと自分よりサイズもあり、非凡な才能を発揮していた諒さんと比較。
「自分は小さいし、高校野球(で活躍する選手)はみんなデカい。だから、通用しないかなって。でも、まだ自分には生かせるポイントがあったので」と言って、両脚をポンと叩いた。高校から陸上を始めた。
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