「サッカー辞める」から一転、プロ注目株に 沖縄へ帰還寸前、人生を変えた強豪校からのオファー――神村学園高・徳村楓大
7月26日から8日間、福島県で熱戦が繰り広げられた高校サッカーのインターハイ(総体)。大会初優勝を飾った神村学園(鹿児島)の3年生アタッカー・徳村楓大は、同校の中等部出身。一度はサッカーを諦めかけたが、1つの転機が今につながっている。(取材・文=THE ANSWER編集部・橋本 啓)

神村学園3年生の歩みを変えた1つの転機
7月26日から8日間、福島県で熱戦が繰り広げられた高校サッカーのインターハイ(総体)。大会初優勝を飾った神村学園(鹿児島)の3年生アタッカー・徳村楓大は、同校の中等部出身。一度はサッカーを諦めかけたが、1つの転機が今につながっている。(取材・文=THE ANSWER編集部・橋本 啓)
高校日本一を懸けた大津(熊本)との決勝戦。気温は33.1度。肌をヒリヒリと焼き付ける真夏の厳しい日差しの中、ベンチスタートだった徳村は後半開始のピッチへ。円陣を組んで待つ仲間の元を目指し、タッチライン際から全力で走った。
スピード豊かなドリブル突破と得点力を武器に、岡山学芸館(岡山)との3回戦では1ゴール。しかし、続く山梨学院(山梨)との準々決勝でアクシデントに見舞われた。相手との接触プレーで足の甲を負傷。準決勝の尚志(福島)戦は欠場を余儀なくされた。
「怪我をしてチームに迷惑かけてしまった中で、準決勝を勝って皆がつないでくれた。決勝の舞台に持っていってくれたチームメートへの感謝と、絶対にチームのためにやるんだっていう気持ちでした」
試合は2-2のままPK戦までもつれる死闘に。一番手のキッカーだった徳村は、シュートをゴール上へ外し思わず頭を抱えた。ただ、大津はその後、2人がキックを失敗。神村学園は全員が成功して歓喜の瞬間を迎えた。
昨年の決勝戦でもピッチに立った徳村は、「去年ここで悔しい思いをして、絶対取り返しに行くっていう気持ちで日々トレーニングをやってきたので良かったです」と感慨に浸った。一方で反省も忘れなかった。延長戦も含め、シュートは0本。「シュートまでいってしっかり決め切るっていうところが今の自分の課題」と戒めた。
生まれは沖縄県。2人の兄がサッカーをしていた影響で、小学1年生の頃から「気づいたら自分もサッカーをしていた」。レベル向上への意欲が増し、小学5年の頃、Jリーグ・サガン鳥栖の下部組織への入団が決まり父親、次男の3人で佐賀県へ。沖縄には母親と長男、妹が残った。
サッカーに熱中していた中学時代、1つの転機が訪れる。「家庭の事情で、沖縄に戻らないといけないっていう風になっていたんです」。当時を振り返り、本人は「サッカーを辞めて、勉強頑張ろうかなと思っていた」。沖縄に戻るならばサッカーを続ける意思はなく、後々を考えて、勉学に励む覚悟を決めていた。
そんな折、徳村の元に届いたのが神村学園中等部からの入団オファー。「もうほとんど沖縄へ戻るって決まった段階で、中等部の松本(翔)先生から声をかけていただいて。それで中2から入った感じです」。中学で実力を伸ばし、高校でも突破力と決定力に磨きをかけ、プロ注目のタレントになった。
今後の進路については「プロの世界で活躍して後々、海外で活躍するのが目標です。まずは高校でしっかり結果を残して、プロの世界に飛び込んでって思い描いてます」。一度は諦めかけたサッカー人生だったが、1つの縁から無限の可能性を秘めた未来が開かれつつある。
(THE ANSWER編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)
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