高3で両親が他界、病室で泣き崩れ…それでも「自分は野球をやるだけ」、父の口癖に救われ掴んだ甲子園切符――関東第一・坂本慎太郎
高校野球の第107回全国選手権東東京大会は28日、神宮球場で行われた決勝で関東第一が岩倉に7-1で快勝。2年連続10度目の夏の甲子園出場を決めた。エース左腕の坂本慎太郎(3年)は大舞台で1失点完投。小4で母を、昨年12月に父を亡くす苦難を乗り越え、2年連続で聖地へたどり着いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

第107回全国高校野球選手権・東東京大会
高校野球の第107回全国選手権東東京大会は28日、神宮球場で行われた決勝で関東第一が岩倉に7-1で快勝。2年連続10度目の夏の甲子園出場を決めた。エース左腕の坂本慎太郎(3年)は大舞台で1失点完投。小4で母を、昨年12月に父を亡くす苦難を乗り越え、2年連続で聖地へたどり着いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)
絶対にあきらめない、俺ならできる――。1点リードの5回、坂本は無死満塁のピンチを迎えたが、神宮の空のもっと上にいる2人を思い、気合いを入れた。「絶対に抑えてやる」。気迫の投球で無失点で切り抜け、9回を126球で完投。打っては4回に右越えソロを放ち2安打2打点。投打に渡る活躍で2年連続の聖地に導いた。
4回、ホームランを放った際に高々と掲げた拳は、天国の両親に捧げるものだった。
昨年11月下旬、父・三男さんが脳出血で倒れ、入院。坂本は練習の傍ら毎日のように病院に通い、意識のない父へ励ましの声をかけ続けた。だが、12月10日に状態が急変。「突然の出来事で頭が真っ白になった」。そのまま75歳で息を引き取った父の亡骸を前に、病室で泣き崩れた。母・雪子さん(享年55)も小4時に他界。若くして両親を失う絶望を味わった。
そんな苦境で支えになったのは生前の父が残した願いだった。「野球をプレーしている姿をずっと見ていたい」。辛く、苦しい時間も「へこたれずに、自分は野球をやるだけだ」と言い聞かせ、活力に変えた。父の口癖は「絶対にあきらめるな、慎太郎なら出来る」。今も頻繁に口ずさみ、自らを奮い立たせる原動力になっている。
この日のスタンドには、姉・良子さん(43)と兄・龍馬さん(34)の姿が。坂本は「兄、姉に支えられて今は野球ができている」と感謝を口にする。昨夏は甲子園で快進撃を演じたが、決勝で京都国際に1-2で惜敗。春夏を通じて初の全国制覇をあと一歩で逃した。「甲子園は本当に出たいと思っていた。父は母と一緒に天国で見てくれていると思う」。愛する両親の力を借り、再び聖地に足を踏み入れる。
(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)
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