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「ベンチから出ていけ!」 監督の“叱責”で自己改革、プロ注目エースだけじゃない背番号13の覚醒――東海大相模・菅野悠

高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は20日、保土ヶ谷球場で行われた5回戦で、東海大相模が法政ニに9-2で8回コールド勝ち。準々決勝へ進んだ。8回5安打2失点(自責0)で完投した背番号13の左腕・菅野(かんの)悠(3年)はマウンド上で常に冷静沈着。その裏に1年前に監督から受けた“叱責”があった。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

常に冷静さを保ち、2失点完投した東海大相模・菅野悠【写真:戸田湧大】
常に冷静さを保ち、2失点完投した東海大相模・菅野悠【写真:戸田湧大】

第107回全国高校野球選手権・神奈川大会

 高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は20日、保土ヶ谷球場で行われた5回戦で、東海大相模が法政ニに9-2で8回コールド勝ち。準々決勝へ進んだ。8回5安打2失点(自責0)で完投した背番号13の左腕・菅野(かんの)悠(3年)はマウンド上で常に冷静沈着。その裏に1年前に監督から受けた“叱責”があった。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 マウンド上の背番号13は冷静だった。無失点投球を続けていた5回、菅野は味方の連続エラーから2失点。「自分が助けなければ」。味方のミスを救える存在こそ強豪校の投手。後続を断って大量失点は許さず。焼けるような暑さの中で110球を粘投した。打者としても、2安打2打点。投打に渡る活躍でコールド勝ちに導いた。

 際立った冷静さは先天的な性格ではない。昨夏の大会前、Aチームに昇格するかを判断する練習試合に登板。9失点を食らい、1死しか取れずに降板した。「ストライクを投げることに精一杯だった」。ベンチに戻り、自分のやるせなさにグラブを叩きつけた。そんな時だった。

「ベンチから出ていけ!」。

 原俊介監督の“怒号が飛んだ。精神的な未熟さが出た行動。菅野は恩師の愛の鞭でいかに独り相撲していたかを理解した。メンバー入りこそ果たしたが、マウンド上の立ち振る舞いを見直すきっかけに。メンタルトレーニングの本を読み、ネットの情報を漁るなど、徹底的に自分の心を磨いた。

「相手と対峙するとき、投手は孤独。自分のメンタルを保つことは非常に難しいことだと思う」と原監督は当時を振り返り、檄の意図を明かす。まさにこの日の投球は成長の証し。「そういった経験をしたから、今日のピッチングがあると思う」と教え子の姿に目を細めた。

 菅野にとっての監督は1人ではない。祖父である鹿島学園(茨城)の鈴木博識監督は、人生初めての“指導者”だ。日大監督時代に村田修一、長野久義を育てたアマ球界の名将。「自分のことを一番知ってくれている人でもあり、自分の野球の中心にいる人」。幼き頃から野球を教わった恩人。今もアドバイスを受けることもある。

 3試合12イニングを投げ、いまだ自責0。今大会はプロ注目のエース・福田拓翔(3年)が調整遅れで温存する試合も目立つ。「1年の時からすごいし、尊敬している」と同学年のライバルを称賛。その上で「マウンドを譲りたくない」と菅野。2年連続の甲子園を目指す東海大相模に頼もしい存在が現れた。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

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