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女子マネと選手を両立させた高校野球 捕手で奮闘、5時起き&塾通いも…すべてを諦めなかった3年間――相模原中等教育・吉澤真央璃

高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は15日、藤沢八部球場で行われた3回戦で、相模原中等教育が伊志田に3-5で惜敗した。ベンチから声を枯らした吉澤真央璃(3年)はチーム唯一の女子部員。負担の多い捕手とマネージャーを兼ね、大好きな高校野球の最後の夏を“選手”として戦い抜いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

チーム唯一の女子部員として最後の夏を戦った、相模原中等・吉澤真央璃【写真:戸田湧大】
チーム唯一の女子部員として最後の夏を戦った、相模原中等・吉澤真央璃【写真:戸田湧大】

第107回全国高校野球選手権・神奈川大会

 高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は15日、藤沢八部球場で行われた3回戦で、相模原中等教育が伊志田に3-5で惜敗した。ベンチから声を枯らした吉澤真央璃(3年)はチーム唯一の女子部員。負担の多い捕手とマネージャーを兼ね、大好きな高校野球の最後の夏を“選手”として戦い抜いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 高い声が球場中に響き渡った。声の主はベンチにいた吉澤だ。メガホンを片手にチームを鼓舞。1点を追う7回に同点に追いつくと「よしっ!!」。ガッツポーズや拍手で喜びを表した。だが、終盤に競り負け2点差の惜敗。「泣きたくない」。相手の校歌斉唱は涙を堪えながら勝利を称え、高校野球のフェアプレーを体現した。

 野球をやっていた7歳上の兄・彰真さんの影響で小学生の頃から興味があった。自宅のホワイトボードの裏に「やきゅうやりたい」と拙い字で想いをつづった。だが、親の反対もありプレーできず。条件として示されたのは中学受験の合格だった。小4から塾に通い、中高一貫の同校に入学。念願の野球のユニホームを着ることができた。

 学校まで往復4時間かかる。早朝5時に起床し、高1の途中から練習後に塾に通う日々を過ごす。「辛くないと言ったら嘘になる」。睡眠不足にも悩まされた。「どうしても入りたいと言って、入らせてもらった野球部。やっぱり頑張らなければ」。両親の想いを背負い、男子部員に交じって白球を追う青春を過ごした。

 野球部生活も順風満帆だったわけではない。中学時代にチーム事情で捕手を始めた。ただでさえ負担の多いポジション。体を張って球を止め、投手陣を支えた。さらに昨夏、3年生の代が引退すると、マネージャーが不在となった。「お前がやれよ」。先輩から言われた。それでもプレーを諦めたくない。「両立させてやる」。練習は選手として汗を流し、試合ではスコア記入やアナウンスなどのマネージャー業務もこなした。

 迎えた最後の夏。試合前のグラウンドには吉澤の姿があった。ユニホームを着て、1か月前から1日3時間猛練習したノックで鋭い打球を飛ばし、チームの士気を上げた。初戦を勝ち上がり、夏1勝も経験。高校卒業後は「海外に出て、世界中の人たちを救える仕事がしたい」と語学を勉強中だ。それでも「野球からは離れたくない」。どんな未来が待っていようと、この代えがたい経験を忘れることはない。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

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