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最愛の両親が4か月で相次いで他界 枯れた涙、朝練は死後1日も欠かさず…天国の2人に「全力の姿で恩返しを」――横浜隼人・葛西拓海

高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は15日、藤沢八部球場で行われた3回戦で、横浜隼人が平塚湘風に6-0で勝利。4回戦へ駒を進めた。ベンチから盛り立てた葛西拓海投手(3年)は両親が昨年12月と今年4月に立て続けに他界。苦難を乗り越え、母校と最愛の2人を甲子園に連れていく。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

苦難を乗り越え、チームのために戦う横浜隼人・葛西拓海【写真:戸田湧大】
苦難を乗り越え、チームのために戦う横浜隼人・葛西拓海【写真:戸田湧大】

第107回全国高校野球選手権・神奈川大会

 高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は15日、藤沢八部球場で行われた3回戦で、横浜隼人が平塚湘風に6-0で勝利。4回戦へ駒を進めた。ベンチから盛り立てた葛西拓海投手(3年)は両親が昨年12月と今年4月に立て続けに他界。苦難を乗り越え、母校と最愛の2人を甲子園に連れていく。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 天国にいる2人への想いを秘める夏。気迫がグラウンドまで伝わった。4回までに6点を奪った横浜隼人は攻守がかみ合い快勝。ベンチでは背番号13をつけた葛西の仲間を鼓舞する大声が響いた。守備を終えると誰よりも早く飛び出し、笑顔でナインを出迎える。「出ているメンバーがプレーに集中できるように」。この日の登板機会はなかったが、チームファーストで貢献した。

 チームメートが口を揃える努力家。信頼も厚い投手陣のリーダーは、この1年で絶望と苦しみを味わった。

 4月15日、夜中に鳴った電話が今でも忘れられない。がんで入院中の母・美耶さんの容体が悪化したと病院から連絡が。「何が起こっているんだ」。慌てて駆け付けた30分後、帰らぬ人となった。父・靖宏さんも昨年12月にがんで他界。大好きな両親が相次いで亡くなった。病室で枯れるまで涙した。

 それでも葛西は挫けなかった。チームメートの前では一切顔に出さず、「おはよう!」と挨拶。日課だった1時間の朝練も、両親の死後、1日たりとも欠かしたことはない。理由はただひとつ。「野球をやっている姿で両親を喜ばせてあげたい」。野球の道を与えてくれた2人に恩返しを――。辛い思いを振り切り、前に進んだ。

 この日のスタンドには、両親の遺影を持った祖父・貞夫さんと叔父・清孝さんの姿が。神奈川大付との初戦は最終回に打者1人を抑え、登板も経験している左腕。「試合に出ても出ていなくても全力でプレーしている姿を見せられれば恩返しになる」。目標は甲子園出場。葛西の覚悟は、天国の2人を聖地まで連れていく。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

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