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高校で野球をやらない選択に危惧 9つだけじゃない居場所、異色の“高校生アナリスト”仕掛け人の狙い――大和

高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は13日、大和スタジアムで行われた2回戦で、大和が上溝南に6-7で惜敗し、初戦敗退した。チームを支えたのは異例の“高校生アナリスト”。野球人口減少を危惧する古川竜三監督の試みで、野球で活躍できるのは9つのポジションだけじゃないと示した。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

“高校生アナリスト”としてチームを支えた大和・稲田光留(左から2人目)【写真:戸田湧大】
“高校生アナリスト”としてチームを支えた大和・稲田光留(左から2人目)【写真:戸田湧大】

第107回全国高校野球選手権・神奈川大会

 高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は13日、大和スタジアムで行われた2回戦で、大和が上溝南に6-7で惜敗し、初戦敗退した。チームを支えたのは異例の“高校生アナリスト”。野球人口減少を危惧する古川竜三監督の試みで、野球で活躍できるのは9つのポジションだけじゃないと示した。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 最後の一本が出なかった。大和は初回に1点を失い、6回にも3点を奪われる厳しい展開。それでも「終盤勝負だ」。古川監督の檄に呼応するように打線は7回、計4安打の一挙4得点で追いつく。8回に3点勝ち越されるも9回に2点を返し、一打同点まで迫った。ただ執念の粘りはあと一歩及ばず、指揮官は「勝たせてあげたかった」と敗戦の責任を負った。

 ユニークな取り組みで強化を図ってきた。大和野球部には“高校生アナリスト”が存在する。試合中、ベンチで常にボードを片手に戦況を見守った背番号17・稲田光留(2年)だ。最近はプロ野球や大学野球に増えつつある役割だが、高校の分析担当はそう多くない。相手投手の球種や球速、配球を分析し共有。外から見た相手打者との間合いやタイミングを伝えることで、より良い状況判断を促している。

 野球経験者も高校で辞めてしまう選手が少なくない。座間南中でプレーしていた稲田もその1人だった。だが、古川監督にアナリストとして誘われた。「野球は色んな形で携われる」。監督の言葉は野球を愛する気持ちを思い出させた。試合に出場することはないとわかっていても、活躍できる居場所があることが嬉しかった。

 今ではチームのために献身的に動き、自らの経験や分析を活かし、ナインにアドバイスを送る。朝練に出向き、1時間ほど選手の打撃をチェック。フォーム改善を提案し、打撃向上を成功させることもあった。最後の夏は勝利に届かなかったものの、利他的な姿に指揮官も「すごく貢献してくれていた」と奮闘に感謝した。

 現在、日本の野球人口は減少傾向にあり、特に少年野球の減少が顕著だ。野球部員が少なく、連合チームで出場する高校も少なくない。「野球を見ることが好きであれば、データの分析を共有してくれるだけでチームに貢献できる」。たとえ出場できなくとも、1人でも多く野球部員を――。古川監督は一歩先を見据えている。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

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