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偏差値74、超進学校が掲げた合言葉は「東大野球部に貢献できる野球人」 指揮官が込めたナインへの願い――横浜翠嵐

高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は12日、俣野公園・横浜薬大スタジアムで行われた2回戦で、横浜翠嵐が松陽に5-3で勝利した。偏差値74の超進学校は、「東大野球部の勝ち点獲得に貢献できる野球人」という異例の合言葉を掲げる。採用した監督に、その意味を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

指揮官の思いを背負った横浜翠嵐。投げてはエース右腕の桑田幸太郎が6回途中3失点と好投した【写真:戸田湧大】
指揮官の思いを背負った横浜翠嵐。投げてはエース右腕の桑田幸太郎が6回途中3失点と好投した【写真:戸田湧大】

第107回全国高校野球選手権・神奈川大会

 高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は12日、俣野公園・横浜薬大スタジアムで行われた2回戦で、横浜翠嵐が松陽に5-3で勝利した。偏差値74の超進学校は、「東大野球部の勝ち点獲得に貢献できる野球人」という異例の合言葉を掲げる。採用した監督に、その意味を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 苦しい展開を見事に制した。4回、松陽に先制点を許すも、5回には2本の安打で同点とした。だがその直後の6回、四球、失策が絡んで2点の勝ち越しを許す。それでも「今日はうちの展開だぞ」。飯島佑監督の言葉でナインは冷静さを失うことはなかった。そして8回、チームは相手先発の山本樹(3年)に集中打を浴びせ、4点を奪って逆転勝ちを収めた。

「2点ビハインドまでならOK」。指揮官が常日頃から伝えている言葉だ。「終盤の1イニングで2点は絶対獲れる。終盤で勝負しよう」。リードされても慌てず、逆境を楽しむ――。そんなメンタリティが刷り込まれたナインにとっては想定通りの試合展開。「1勝」を勝ち取るための思考が実を結んだ。

 横浜翠嵐は偏差値74とも言われる超進学校。夜は塾に通い、早朝に登校して授業前から勉強する生徒も珍しくない。野球の練習に充てる時間は貴重で、効率性が重視されている。

 外野ノックの間、内野はカットプレーを練習。内野ノックは打撃練習と同時並行する。飯島監督は「間を詰めて、行動を早くして、時間を捻出することで質の高い練習をしてきた」と創意工夫に胸を張る。

 2024年度は東大に67名が現役合格。部内では「東大野球部の勝ち点獲得に貢献できる野球人」という合言葉を掲げている。今年赴任した飯島監督の考えだ。「東大に入るだけでなく、勝利に貢献でき、機能できる選手を目指す」。飯島監督が定めた異例ともいえる目標に対し、エース右腕の桑田幸太郎(3年)は「延長線上に東大野球部がある。1つのモチベーションになっている」と理解を示す。

 次戦は15日、第2シードの立花学園と対戦する。「挑戦を楽しんで欲しい。そういう野球部にしたい」。指揮官が横浜翠嵐ナインに願う姿は、強豪相手でも変わらない。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

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