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たった5人の“男子吹奏楽部”の青春 工業校で女子少なく…部員ゼロ、休部状態から野球部に奏でるエール――横須賀工吹奏楽部

高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は10日、横須賀スタジアムで行われた1回戦で、横須賀工が鶴見総合に14-2で5回コールド勝ちした。応援席に駆け付けた吹奏楽部はたった5人の“男子部員”。初心者ばかりで構成された異例の集団がメロディーで夏1勝を後押しした。(THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

母校の応援に駆け付けた横須賀工業・吹奏楽部、中央は部長の加藤凛玖さん【写真:戸田湧大】
母校の応援に駆け付けた横須賀工業・吹奏楽部、中央は部長の加藤凛玖さん【写真:戸田湧大】

第107回全国高校野球選手権・神奈川大会

 高校野球の第107回全国選手権神奈川大会は10日、横須賀スタジアムで行われた1回戦で、横須賀工が鶴見総合に14-2で5回コールド勝ちした。応援席に駆け付けた吹奏楽部はたった5人の“男子部員”。初心者ばかりで構成された異例の集団がメロディーで夏1勝を後押しした。(THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 鮮やかな音色とリズムに乗り、横須賀工打線が爆発した。初回に2点を失うも、その裏に同点に追いつく。勢いそのままに3回に9点、4回に3点と猛打を浴びせ、5回で試合を決めた。気温30度を超える厳しい環境。それでも「野球はやっぱり楽しい」。一塁側応援席から勝利を演出した吹奏楽部の5人の表情は晴れやかだった。

 トランペットを担当する部長の加藤凛玖さん(3年)は1年秋に入部。顧問の先生に声をかけられ「誘われたからやってみるか」と軽い気持ちだった。ただ、音楽初心者だったため、楽譜を読むことすらままならず、退部を考えたこともある。だが、夏に野球部の応援を経験してから状況は一変。「入ってよかったな」。猛暑の夏に汗だくで音を奏でる。高校野球を盛り上げる一員になることに喜びを感じた。

 加藤さんを含む3年生の4人は全員初心者。工業校で女子生徒が少ないこともあり、男子部員のみだ。練習に臨む意識やモチベーションの差で衝突が起きることもある。コンクール出場の際は、人数不足で海洋科学と合同出場。練習の成果が発揮しきれず、女子が多いばかりの会場に恥ずかしさも感じた。それでも、部活後には毎回外食を共にするなど、仲の良さを深めて成長してきた。

 2年前は部員が0人。加藤さんが入るまでほぼ休部状態だった。夏の大会でも野球部の応援に楽器の音は流れなかった。今大会の躍進に吹奏楽部の頑張りは欠かせない。「応援の力をかなり感じた。本当に感謝しかない」と強調するのは斎藤龍人監督。主将の高橋駿介(3年)も「暑い中、応援してくれてすごく嬉しい」と感謝しきりだった。

 吹奏楽部5人のうち、3年生の4人は今年で引退。残るのは1年生の1人だけ。斎藤監督も「これからも一緒に頑張っていければ」と吹奏楽部との“共闘”に期待を込める。高校野球がつくる青春は応援席にもある。この夏、1試合でも多く。そして、その先も――。男だらけの横須賀工吹奏楽部はきっと来夏もまたエールを奏でる。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

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