最強帝京大の喋れなかった主将の言葉力 4連覇の裏で悩んだ、部員150人へ「どうしたら伝わるか」【ラグビー大学選手権】
ラグビーの全国大学選手権決勝が13日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、王者・帝京大が早大に33-15で勝利した。史上初となる2度目の4連覇を達成し、通算13度目の優勝は明大と並ぶ歴代2位。最多16度を誇る早大の5大会ぶりの優勝を阻んだ。主将のFL青木恵斗(4年)は号泣。シーズン当初は感情を言語化できずに悩んだが、最後は言葉の力で日本一に上り詰めた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
全国大学選手権決勝
ラグビーの全国大学選手権決勝が13日、東京・秩父宮ラグビー場で行われ、王者・帝京大が早大に33-15で勝利した。史上初となる2度目の4連覇を達成し、通算13度目の優勝は明大と並ぶ歴代2位。最多16度を誇る早大の5大会ぶりの優勝を阻んだ。主将のFL青木恵斗(4年)は号泣。シーズン当初は感情を言語化できずに悩んだが、最後は言葉の力で日本一に上り詰めた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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もう言葉はいらない。泣き顔で抱き合い、想いをぶつけた。仲間一人ひとりのもとに歩み寄った青木。「悩む時期も多かったけど、帝京のみんなが支えてくれてここに立てた」。約150人の部員を言葉で、プレーでまとめた大黒柱。身長187センチ、体重110キロの巨体が連覇の数と同じだけ宙を舞った。
人生初の主将に就任。4連覇の重圧を背負いながら迎えた昨夏、早大に敗れた。だが、部内の空気は変わらず、打開策が見つからない。「どうしたらチームで変われるんだろうか」。悩みを抱えた9月の初戦。試合後の会見は相馬朋和監督の隣りで「何から話していいかわからない」と言葉に詰まった。
桐蔭学園2、3年時に花園2連覇、大学選手権も3連覇。「パフォーマンスでチームを引っ張ることだけを考えていた」。主将になればそうはいかない。「どう伝えたらいいか、考えて、考えて。その結果、しっかり伝えようと考えるきっかけになった」
主将として成長が始まったが、またも早大が立ちはだかる。11月3日の対抗戦で17-48の大敗。自慢のスクラムが敵わなかった。「現実を受け止めて、一人ひとり何が足りないのか考えた」。見えたのは常勝軍団だから抱える課題だった。
「チームとして『これで勝てるだろう』という空気でラグビーをしていた。11月3日まで勝つ前提のラグビー。帝京の勝ちパターンのラグビーだったけど、それが劣勢の状況ではハマらない」
言葉を丁寧に使い、プレー内の取り決めを浸透させた。ボールを持つ時間を増やし、キックの精度をアップ。「僕一人の考えではなくて150人全員で考えて、急ピッチで成長できた」。重厚なスクラムが蘇り、大学選手権を駆け上がった。