関東準V、健大高崎の“幹”になった北海道の絆 下重賢慎が追い求める158km右腕との違い「負ける気はしない」
第77回秋季関東高校野球大会は4日、横浜市のサーティーフォー保土ヶ谷で決勝を行い、健大高崎(群馬)は延長10回タイブレークの末、横浜(神奈川)に3-4で惜敗。2020年以来4年ぶりの優勝はならなかった。先発した最速158キロ右腕の石垣元気(2年)が7回途中に降板した後、2回1/3を走者を1人も出さずに料理したのが左腕の下重賢慎(2年)だ。剛速球を投げる石垣との“違い”を生かそうとする左腕は、出場が濃厚な来春の選抜甲子園を見据えて進化を誓う。
158キロ男が緊急降板…2番手の下重は打者7人をピシャリ
第77回秋季関東高校野球大会は4日、横浜市のサーティーフォー保土ヶ谷で決勝を行い、健大高崎(群馬)は延長10回タイブレークの末、横浜(神奈川)に3-4で惜敗。2020年以来4年ぶりの優勝はならなかった。先発した最速158キロ右腕の石垣元気(2年)が7回途中に降板した後、2回1/3を走者を1人も出さずに料理したのが左腕の下重賢慎(2年)だ。剛速球を投げる石垣との“違い”を生かそうとする左腕は、出場が濃厚な来春の選抜甲子園を見据えて進化を誓う。
健大高崎は1-1で迎えた7回、1死二、三塁から石垣が右前に2点適時打を放ち勝ち越した。ただこの時、ベースランニングで足をつりかけるアクシデント。背番号10の下重は「タイムリーを打って、足がつりそうだと聞いたので……。行くかもしれないなと」。試合の先を読み、冷静に準備を進めた。
直後の横浜の攻撃、石垣は2死三塁から為永皓内野手(2年)に左中間、奥村凌大内野手(2年)に右越えと連続適時二塁打を浴びた。続投は、ベンチも迷った末の判断だった。「今日の石垣はまとまっていたし、良く投げた。何とかもう1回と思った時に……」と青柳博文監督。同点にされ、なお2死二塁というピンチで、下重がマウンドに上がった。続く4番の小野舜友(1年)を二ゴロに片づけると、力強いガッツポーズをしながらマウンドを降りる。さらに8回、9回と走者を1人も出さないパーフェクトリリーフ。勝利を呼び込むべく奮闘した。
エースナンバーを背負う石垣は、10月29日の準々決勝で158キロを記録した剛腕。一方の下重は、直球こそ130キロ台ながら正確なコントロールが売りだ。「石垣は速球派。自分はキレだったり、コントロールだったりという部分で相手打者を圧倒できれば」と“違い”を意識することで貢献しようとするクレバーさもある。
2人には違いだけでなく、共通点もある。今年の健大高崎は、主力に北海道出身の選手が並ぶ。下重は釧路、石垣は登別の出身。さらに主将の加藤大成内野手(2年)と背番号11の山田遼大投手(2年)は札幌からやってきた。高温多湿の群馬の夏には「とにかく暑くて……」と中々慣れない様子だが、同じ下宿で暮らす4人は「一緒にご飯を食べに行ったり、とにかく仲がいいんです。日ごろから一緒に暮らしているのは、チームワークにも関係すると思います」とチームの“幹”になっている。
下重は中学時代、シニアリーグの北海道選抜で石垣とチームメートになったことがあり「毎試合交代しながら投げている感じでした。石垣はボールは速かったけど(投手として)負ける気はしなかった」と負けん気もチラリ。
試合は、延長で代打を送られた下重に代わり、再登板した石垣が1死二、三塁から右翼線にポトリと落ちる適時打を浴びて敗れた。出場濃厚な選抜甲子園に向け「一人一人に対して、まだまだスキが多い。完璧を求めていきたい」と課題を挙げた下重。悔しさを胸に、春には大きな花を咲かせる。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)