陸上とボブスレー「2種目で五輪選手に」異色の挑戦へ 大学生100m最速女王・石川優が逃げずに向き合った4年間
9月19日から4日間行われた第93回日本学生陸上競技対校選手権(日本インカレ)。大学日本一をかけた熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子100メートル決勝に出場した青学大・石川優(4年)。東京五輪4×100メートルリレーの代表にも選出されたスプリンターは11秒61(追い風0.4メートル)で初優勝を果たした。両ハムストリングの怪我に悩まされた4年間。逃げずに向き合った日々に「成長できた」と胸を張った。
陸上・日本インカレ
9月19日から4日間行われた第93回日本学生陸上競技対校選手権(日本インカレ)。大学日本一をかけた熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子100メートル決勝に出場した青学大・石川優(4年)。東京五輪4×100メートルリレーの代表にも選出されたスプリンターは11秒61(追い風0.4メートル)で初優勝を果たした。両ハムストリングの怪我に悩まされた4年間。逃げずに向き合った日々に「成長できた」と胸を張った。
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ゴールした瞬間、感情が溢れ出した。好スタートを切った石川は50メートル付近で前に出ると、そのまま先頭でゴールラインを駆け抜けた。両手で顔を覆って涙。膝をついてトラックにしゃがみ込んだ。大学最後の年に悲願を達成。「やっとの思いで優勝できた。素直に嬉しいです」。涙の後に笑顔が咲いた。
相洋高(神奈川)3年時に全国高校陸上2020で100、200メートルを2冠。大学1年時には日本学生個人選手権で100メートルを制し、東京五輪4×100メートルリレーの代表にも選出された。そんな世代トップのスプリンターを悩ませたのが度重なる両ハムストリングの怪我だった。
大学2年のシーズンは序盤で肉離れを起こし、ほとんど走れず。「自分でもびっくりするくらい怪我をしてしまった。4年生までに治るか不安だった」と振り返る。それでも「怪我をしてやるべきことが明確になった。冬季も一生懸命に取り組んできて、自分としては成長できた」と胸を張った。
今後は陸上競技に加えて、ウィンタースポーツのボブスレーにも挑戦する予定。今夏にも練習に参加したといい、「ボブスレーでは自分の弱い部分がもろに出る。そこが改善されてスタートに生きた」と早くも両立することのメリットを実感した。
「陸上とボブスレーの2種目でオリンピック選手になることが目標。頑張ります」。困難を乗り越え、再び頂点まで辿り着いた21歳の目は輝いていた。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)