全中女子400mリレーは田原東部が初V 後輩3人が繋いだ唯一の3年・伊藤沙耶のラスト20m「前、いないな」
全日本中学陸上選手権が20日、福井運動公園陸上競技場で行われた。女子400メートルリレーでは田原東部(愛知)が47秒70で初優勝。個人種目では出場のなかった4人がバトンを繋ぎ、全国制覇を達成した。後輩3人の激走を受けたアンカーの伊藤沙耶(3年)は、ラスト20メートルの景色を目に焼き付けた。
全日本中学陸上選手権
全日本中学陸上選手権が20日、福井運動公園陸上競技場で行われた。女子400メートルリレーでは田原東部(愛知)が47秒70で初優勝。個人種目では出場のなかった4人がバトンを繋ぎ、全国制覇を達成した。後輩3人の激走を受けたアンカーの伊藤沙耶(3年)は、ラスト20メートルの景色を目に焼き付けた。
最後まで力強くホームストレートを駆け抜けた。接戦でバトンを受けた唯一の3年生・伊藤が中盤でトップに。「前、いないな」。ラスト20メートル、見えるのはゴールラインだけ。優勝チームのアンカーだけが体感できる特別な光景は、一瞬で終わった。
ゴール後は力強く握った両こぶしを振り下ろし、笑顔。同部初の全国制覇だ。「4走でプレッシャーもあったけど、私を信じてバトンを繋いできてくれて嬉しかったです」。3人の思いを背負った先輩は頼もしかった。
伊藤以外は全員2年生。勢いよくスタートを切った1走・河合謡は「みんなで全国優勝するという目標を掲げて頑張ってきた。優勝できて嬉しい。最高の走りができました」。猛追を見せた2走・阿部なの葉は「今シーズンは負けなしでここまできた。最高の仲間と日本一を掴み取れて最高です」とともに喜びを口にした。
コーナーで速度を落とさず、伊藤に託した3走・横田乙葉は「優勝が分かった時は本当に嬉しかった。チームベストで今シーズン終わることができたので良かったです」。4人で作り上げた有終の美だった。
昨年の全中後にチームを結成。敢えて「全国制覇」の目標を口にすることで意識を高めてきた。取材で「予選から変えたことは」と聞かれ、口を揃えて「気合の量」と回答。息ぴったりだ。かつて悩んだバトンパスも、抜群のチームワークで改善させた。
残り1年ある3人を残し、伊藤だけが去る。「後輩たちにはやっぱり連覇をしてほしい」。受け取ったバトンの感触は、チームを離れても忘れない。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)