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県立の雄、相模原が再び知った夏の怖さ 横浜撃破を知るOBコーチ、涙のナインに引き継ぐ魂「だから残っている」

横浜を倒した2019年夏は1年生でベンチ入りしていた白井さん。スタンドからナインの戦いを見つめた【撮影:山野邊佳穂】
横浜を倒した2019年夏は1年生でベンチ入りしていた白井さん。スタンドからナインの戦いを見つめた【撮影:山野邊佳穂】

最後の夏、同じ初戦敗退だから分かること「社会のレギュラーに」

 だから「やり残した感があった」。部活引退後、佐相眞澄監督に打診され、引き受けたのが後輩たちを指導するコーチ役。法大に進んだ現在も、自身は準硬式野球部でプレーしながら、週に2、3回ほど指導している。夏の喜びよりも、怖さを知っているからこそ、「1つのプレーで勝ち負けが決まる。想定外を想定内にすること」と後輩たちには伝えてきた。ノック時の小さなミスを口酸っぱく指摘し、やり切るまで終わらせなかった。

 県内有数の進学校・相模原の野球部に入ってくるのは、横浜撃破の夏をはじめとして、私学と互角以上に戦う姿に憧れた球児ばかり。三好悠介主将(3年)もその一人で、敗戦後は「夏の大会は流れが大事と言われてきた。全員で意識していたけど、最後の最後に隙が出てしまった。早すぎる。もうちょっとやりたかった」と言葉を詰まらせた。

 彼ら3年生は、白井さんにとってコーチ就任後に初めて入学してきた代。思い入れは強く「最初はボール回しもままならなかった。ここまでこられたのは後輩たちの努力」と、見違えるようにシートノックをこなすナインを優しいまなざしで見つめる。ただ彼らが味わったのは、自身と同じ初戦敗退。同じ悔しさを知っているからこそ、伝えたいことがある。

「最後の夏にやり切れなかったから、コーチとしてここに残っている。佐相先生がよく『社会のレギュラーになれ』とおっしゃっている。レギュラーも控えも関係ない。悔しさをエネルギーに変えてほしい」。誰にも愛称の“県相”と呼ばれる相模原。悔しさしかないこの夏も財産にして、それぞれが前へ進んでいく。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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