柳田大輝の9秒97で吹いた風 400m初制覇、山本嶺心を加速させた「チーム東洋」の影響力【日本学生陸上】
2024日本学生陸上競技個人選手権は15日、神奈川県のレモンガススタジアム平塚で第2日を行い、男子100メートルの準決勝で柳田大輝(東洋大3年)が3.5メートルの追い風参考ながら9秒97を記録した。これに触発されたのが同大の短距離陣。ちょうど入れ替わりで行われた400メートル決勝では山本嶺心(東洋大2年)が46秒64で初優勝。山本は「めちゃくちゃいい流れが来た。感謝です」と先輩スプリンターの影響力を口にした。
度重なる肉離れで1年を棒に…期間限定の400メートル挑戦で初優勝
2024日本学生陸上競技個人選手権は15日、神奈川県のレモンガススタジアム平塚で第2日を行い、男子100メートルの準決勝で柳田大輝(東洋大3年)が3.5メートルの追い風参考ながら9秒97を記録した。これに触発されたのが同大の短距離陣。ちょうど入れ替わりで行われた400メートル決勝では山本嶺心(東洋大2年)が46秒64で初優勝。山本は「めちゃくちゃいい流れが来た。感謝です」と先輩スプリンターの影響力を口にした。
柳田が出した9秒97が確定すると、電光掲示板を見た場内のあちこちから「すげえ」「追い風でもやばい」という声があふれた。400メートルに東洋大から出場した3人がスタンド下でウォーミングアップをしていると、柳田がちょうど戻ってきた。コーチ陣からは「めちゃめちゃいい風が来てるぞ!」と声が上がり、その勢いのままに400メートルを制した山本も「その通りでした。感謝しかないです」と笑顔で口にする。
山本は「東洋はもちろん礼儀は必要なんですけど、あまり堅苦しい感じはなくて、先輩にも絡んでいける感じなんです」と、部の一体感を表現した。柳田のように、日本の頂点を争う選手と共にする日々が、刺激にならないわけがない。「先輩にもどんどん話しに行きますし、話しかけてもくれる。本当にありがたいです」と、チームの推進力も増している。
山本にとっては「仮住まい」の400メートルだ。洛南高(京都)時代から本職は200メートル。ただ大学初シーズンだった昨季は「ずっと肉離れをしていて……右も左もいつやったのかわからないくらい」という状況だった。パワー向上に脚がついていけず、気づけば1シーズン大会に出場できなかった。
今季を前に、チームから提案されたのが400メートルへの挑戦だった。瞬間の爆発的な力が必要な200メートルより、平均して同じ力を出す持続力も問われる400メートルの方が、足への影響が小さくすむのではという理由だ。
4月の日体大記録会では自己ベストの46秒39を叩き出し、素質の高さを見せた。ただこの種目への挑戦は、今月末の日本選手権までの予定だ。山本はこの日の優勝にも「勝ちはしましたけど、やっぱり45秒台に乗せないと先に進めない」と悔しそう。最後のチャンスにさらにタイムを詰めたいという。
高校時代から苦楽をともにしてきた山崎琉惟(東洋大2年=5位)と、ともに決勝に進めたことが何よりうれしかった。やっと大学でのスタートを切れたという実感が湧いた。「中学からずっと200メートルでやってきたので、今後も軸は200で。大学にいるうちに、日本のトップまで狙っていきたい」。柳田の激走にも触発され、チーム東洋に上昇気流が生まれている。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)