「最初は日本が好きじゃなかった」 食事に言葉に…悩んだ留学生が日本の部活で知った青春の味
バスケットボールの第76回全国高校選手権「Softbank ウインターカップ」の男子決勝が29日、東京体育館で行われ、福岡第一が福岡大大濠に63-53で勝利し、4年ぶり5度目の優勝を果たした。2年生で唯一先発したサー・シェッハはアフリカのガンビア共和国からの留学生として日本一を達成。言葉の壁、厳しい練習、合わない食事に悩み、一度は帰国したいと思ったこともあったが、日本の部活を通してかけがえのない仲間と青春を味わった。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
ウインターカップ男子決勝、福岡第一のサー・シェッハが宣言通りの日本一
バスケットボールの第76回全国高校選手権「Softbank ウインターカップ」の男子決勝が29日、東京体育館で行われ、福岡第一が福岡大大濠に63-53で勝利し、4年ぶり5度目の優勝を果たした。2年生で唯一先発したサー・シェッハはアフリカのガンビア共和国からの留学生として日本一を達成。言葉の壁、厳しい練習、合わない食事に悩み、一度は帰国したいと思ったこともあったが、日本の部活を通してかけがえのない仲間と青春を味わった。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
アフリカから単身やって来た日本で、人生で一番の歓喜に酔いしれた。日本一を告げる試合終了のブザーが鳴ると、シェッハはホッとした表情を浮かべ、チームメートに駆け寄った。苦楽を共にした仲間や井手口孝監督らとがっしり抱擁。喜びを分かち合った。
セネガルの隣国ガンビア出身。おじの紹介で福岡第一に留学したが、当初はあらゆる文化の違いに戸惑った。
「とても弱かった。何もできなかったから」。日本語も話せず、食べ物も口に合わない。入学前に過ごしたセネガルにいた頃は練習は1日2時間程度だったが、日本では朝練が毎日あり、1日5~6時間。「とても厳しかった。休む時間もない。食べ物も好きじゃない。最初は日本が好きじゃなかった。ここにいたくない、セネガルに帰りたいと思っていた」。英語で率直な想いを打ち明けた。
そんな時に、救いになったのがエース・崎濱秀斗(3年)ら仲間の言葉だった。
「サキハマ・シュウトが日本に残るように説得してくれた。彼はチームの中で一番の親友。きっとチャンピオンになれるからって」。卒業後に米国に留学予定の崎濱は英語を勉強中。まだ日本語が得意ではないシェッハとチームメートの間に入り、言葉の壁を取り払う役目も担った。
「時々、僕のところに話に来てくれたんだ。いろんな形で僕を助けてくれた。彼に感謝したい。そして、センセイにも感謝したい」