部活動の地域移行は「子供のため」であるべき “働き方改革”先行の流れに懸念の声も
近年加速する日本の少子化は様々な社会問題を引き起こす要因であり、その対策は急務なものとして活発に議論されているが、部活動の現場に目を向ければ影響はすでに形となって表れている。部員が集まらずにチームを組めない、部活動自体が消滅し子供たちが幼少期から親しんだ競技を続けることができない――。教育現場や各スポーツ団体で大きな変革が求められている今、様々なアイデアによって部活動の“新たなカタチ”を模索する動きに迫った連載「少子化とブカツの未来」。子供たちが今までと変わらずにスポーツを楽しめる環境づくりと、競技文化の持続的な発展を考察していく。
連載「少子化とブカツの未来」、埼玉県白岡市の地域移行・第3回
近年加速する日本の少子化は様々な社会問題を引き起こす要因であり、その対策は急務なものとして活発に議論されているが、部活動の現場に目を向ければ影響はすでに形となって表れている。部員が集まらずにチームを組めない、部活動自体が消滅し子供たちが幼少期から親しんだ競技を続けることができない――。教育現場や各スポーツ団体で大きな変革が求められている今、様々なアイデアによって部活動の“新たなカタチ”を模索する動きに迫った連載「少子化とブカツの未来」。子供たちが今までと変わらずにスポーツを楽しめる環境づくりと、競技文化の持続的な発展を考察していく。
2023年度から公立中学校でスタートする、部活動の地域移行を先行実施した埼玉県白岡市。全国での本格導入に向けて、今多くの自治体が頭を悩ませているのが指導者の確保だ。休日の指導体制をどのように築いていくのか。白岡市をはじめ、現場で奮闘している関係者の声をまとめた。(取材・文=河野 正)
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平日の学校部活動は教師が指導し、休日の地域クラブ活動になると民間の人材が指南役となる――。公立中学校の休日の部活動を民間スポーツクラブや文化芸術団体などに委ねる地域移行。新年度から始まる文部科学省の改革で、部活動はどう生まれ変わるのか。
部活動改革の経緯を振り返ると、スポーツ庁と文化庁が2018年、『部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』を策定したことが、地域移行を推し進めた。両庁とも学校と地域が協働・融合し、地域で活動できる環境整備を求めた。
19年1月の文科省の中央教育審議会、同年12月の国会の附帯決議とも、部活動を学校単位から地域単位の取り組みに移行し、学校以外が担うことを提言。中教審は積極的に進めるべき、附帯決議では早期実現に特段の配慮をすべきとしている。いずれも教員の負担軽減が狙いだ。
スポーツ庁が20年9月に公表した『学校の働き方改革を踏まえた部活動改革』が地域移行を決定づけ、具体化させた。教師の長時間勤務解消が改革のベースにあり、休日の部活動に消費する負担軽減を目指した。授業が休日にないのと同じく、部活動も休日には教師が休めるよう、地域活動として行う環境づくりが必要との方向性を示した。
地域移行によって生じる課題や成果を調査するため、スポーツ庁は21年度から全国102自治体の中学校でモデル事業を実施。地域の人々の協力で部活動を切り盛りしてきた埼玉県白岡市も、この事業を通じて地域移行の在り方を検証中だ。