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30年前に県優勝も廃部の現実 人口5万人の白岡市、部活動の地域移行を先行実施する理由

近年加速する日本の少子化は様々な社会問題を引き起こす要因であり、その対策は急務なものとして活発に議論されているが、部活動の現場に目を向ければ影響はすでに形となって表れている。部員が集まらずにチームを組めない、部活動自体が消滅し子供たちが幼少期から親しんだ競技を続けることができない――。教育現場や各スポーツ団体で大きな変革が求められている今、様々なアイデアで部活動の“新たなカタチ”を模索する動きを追う連載「少子化とブカツの未来」。今回は2023年度から始まる公立中学校での部活動の地域移行を先行して実施している、埼玉県白岡市の活動を取材した。(取材・文=河野 正)

2022年度から合同部活動に加わった卓球。白岡市立南中の選手が地域クラブ指導者と練習する【写真:河野正】
2022年度から合同部活動に加わった卓球。白岡市立南中の選手が地域クラブ指導者と練習する【写真:河野正】

連載「少子化とブカツの未来」、埼玉県白岡市の地域移行・第1回

 近年加速する日本の少子化は様々な社会問題を引き起こす要因であり、その対策は急務なものとして活発に議論されているが、部活動の現場に目を向ければ影響はすでに形となって表れている。部員が集まらずにチームを組めない、部活動自体が消滅し子供たちが幼少期から親しんだ競技を続けることができない――。教育現場や各スポーツ団体で大きな変革が求められている今、様々なアイデアで部活動の“新たなカタチ”を模索する動きを追う連載「少子化とブカツの未来」。今回は2023年度から始まる公立中学校での部活動の地域移行を先行して実施している、埼玉県白岡市の活動を取材した。(取材・文=河野 正)

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 公立中学校の休日の部活動を地域団体や民間事業者に委ねる地域移行について、文部科学省は2023年度から着手し、達成時期を設けず可能な限り早期に完結させたい意向を示した。21年度にはスポーツ庁が地域運動部活動推進事業を新設し、全国102自治体の中学校で地域移行を先行実施した。このモデル事業の規範として注目を集め、参画から2年目も精力的に取り組むのが埼玉県白岡市だ。

 人口5万2700人の白岡市には、4つの公立中学校に計50の部活動(運動部35、文化部15)があり、2021年11月から4校合わせて10の部活動で委託先管理団体に休日の指導を依頼した。地域移行に向け、モデル事業を通じて課題や成果を検証しようとする国の動きに呼応した格好だ。埼玉県では同市とさいたま市が昨年度から、戸田市が今年度から実施している。

 21年2月に埼玉県から事業の案内を受けた白岡市は、学校部活動の市の実情を勘案して参加を決めた。

 同市教育指導課で地域クラブ活動を担当する石島隆志指導主事は、「白岡市は元々、地域の人々の協力によって部活動が成り立ってきた歴史があります」と事業に参画した理由を明かすと、「少子化が深刻な菁莪(せいが)中はサッカー部、軟式野球部、陸上部がありません。菁莪中に限らず、これからの少子化対策として(4校での)合同部活動の在り方なども模索したかった」と述べる。

 菁莪中サッカー部は1992年の埼玉県新人大会で初優勝したが、そんな強豪でも時代の変化とともに廃部へ追いやられた現実がある。

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