新潟勢初V・開志国際が貫いた「命がけのハリーバック」 9年前、体育館に貼った原点
バスケットボールの第75回全国高校選手権「SoftBank ウインターカップ2022」の男子決勝が29日、東京体育館で行われ、開志国際(新潟)が福岡第一(福岡)に88-71で勝利し、男女通じて新潟県勢初の優勝を果たした。今夏のインターハイ決勝で1点差で惜敗した相手との再戦。富樫英樹コーチは「悔しさをこの4か月持って、全員で『どうやれば福岡第一に勝てるか』と考えてきた。それを体現できて、この舞台で優勝できて、子供たち、関係者たちに本当に感謝」と喜びを噛みしめた。
ウインターカップ2022男子決勝
バスケットボールの第75回全国高校選手権「SoftBank ウインターカップ2022」の男子決勝が29日、東京体育館で行われ、開志国際(新潟)が福岡第一(福岡)に88-71で勝利し、男女通じて新潟県勢初の優勝を果たした。今夏のインターハイ決勝で1点差で惜敗した相手との再戦。富樫英樹コーチは「悔しさをこの4か月持って、全員で『どうやれば福岡第一に勝てるか』と考えてきた。それを体現できて、この舞台で優勝できて、子供たち、関係者たちに本当に感謝」と喜びを噛みしめた。
開始30秒で福岡第一の轟琉維(3年)に2Pシュートを決められて先制を許すが、そこから11連続ポイントと幸先のいいスタートを切った。しかし、インターハイと秋のトップリーグを制して3冠を目指す福岡第一の反撃に遭い、第1クォーター(Q)は22-27とリードを許した。潮目が変わったのは第2Q。立ち上がりから平良宗龍(1年)が立て続けに3Pシュートを沈め、25-9とこのピリオドを圧倒。後半迫られたが、最後まで必死に守り切った。
インターハイ決勝では最後の5秒で逆転され、涙を飲んだ。この日は最大で23点差をつけたが、「選手たちもベンチも、『まだまだ! まだまだ! まだまだ!』と点差が開いても最後まで緊張感が解けなかった」と富樫コーチは意識を緩めなかった選手を称えた。
走ってくる福岡第一相手に、最も警戒していたのは速攻からのキックアウトでスリーポイントを決められることだった。対策として徹底したのは「ハリーバック(急いで戻れ)!」の精神。9年前に開志国際のコーチに就任した際、最初に体育館に掲示した貼り紙も「命がけのハリーバック」。勝負の決め手として説き続けてきた原点が、決勝でも生きた。
インターハイで惜敗した後、指揮官が選手たちから感じたのは「負けたショックよりも準優勝の自信」だったという。ゲームキャプテンの武藤俊太朗(3年)は「インターハイで悔しい結果に終わって、そこからみんなの気持ちが『ウインターカップで絶対優勝する、もっと強くなる』というものになり、練習もハードになった。ずっと対策してきたことがリベンジマッチで十分に発揮できた」と胸を張る。
夏の悔しい思いを晴らすため、「練習の雰囲気がよくなかったときに寮の部屋で3年生を数人集めて、『ここが今ダメ。ここが出来ていない』といった部分を話し合った。いい練習をずっとしていけるように工夫してきた」とチームで意識を変えてきたという武藤。「絶対に優勝する」。夏に誓った目標に向けてチーム一丸で取り組み、新潟に初の栄光をもたらした。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)