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30得点も「負けたのは自分のせい」 先発唯一の3年生、龍谷富山・澤知央の涙に見た責任感

バスケットボールの第75回全国高校選手権「SoftBank ウインターカップ2022」が23日、東京体育館と大田区総合体育館の2会場で開幕した。女子1回戦では龍谷富山(富山)が小林(宮崎)に59-90で敗戦。スタメン唯一の3年生だったキャプテンの澤知央はチーム最多の30得点、16リバウンドの活躍も、「負けたのは大半が自分のせい」と、涙ながらにキャプテンとしての強い責任感を滲ませた。

龍谷富山のキャプテン・澤知央【写真提供:日本バスケットボール協会】
龍谷富山のキャプテン・澤知央【写真提供:日本バスケットボール協会】

ウインターカップ2022

 バスケットボールの第75回全国高校選手権「SoftBank ウインターカップ2022」が23日、東京体育館と大田区総合体育館の2会場で開幕した。女子1回戦では龍谷富山(富山)が小林(宮崎)に59-90で敗戦。スタメン唯一の3年生だったキャプテンの澤知央はチーム最多の30得点、16リバウンドの活躍も、「負けたのは大半が自分のせい」と、涙ながらにキャプテンとしての強い責任感を滲ませた。

 スタメンに1年生2人、2年生2人を起用した龍谷富山は、第1クォーターを10-18で終えるも、第2クォーターでは小林のプレッシャーディフェンスに対応しきれず、前半終了時点で18-46と点差を離されてしまう。しかし、後半は澤のオフェンスリバウンドなどを起点に得点を重ね、第3、第4クォーターだけ見れば41-44と巻き返しを見せた。

 澤は終始大きな声でチームを鼓舞し、ときにはチームメートを集めて落ち着かせるなど、プレー以外でも存在感を発揮した。佐藤肇コーチも「リーダーシップを取りながらプレーしてくれた。うまくいかなかったときもあったが、鼓舞してくれたというところは僕からも感謝」とチームを引っ張ったキャプテンを労った。

 しかし、本人が試合後に真っ先に口にしたのは後悔の念だった。「自分の思うようにできなかった。自分のことで一杯一杯になってしまった。昨年を経験していたのに、その経験を生かせなかった部分がある。1、2年生はほとんどが初めての経験だったので、もう少しみんなに声をかけたり、もっと盛り上げていければよかったと反省している。負けたのは大半が自分のせいだと思っている」。涙をこらえながら受け答えする姿からは、3年生としての、キャプテンとしての強い責任感が溢れていた。

 U-18日本代表候補にも選抜された澤は今後もバスケットボール選手としてのキャリアを続けるというが、卒業までの間に後輩たちに伝えていきたいことがあるという。「自分たちで考えるバスケ、そしてしっかり声を出すことをメインでやってきた。先生たちのアドバイスだけでやるのではなく、しっかりと自分たちで考えることを忘れずに。また、流れが悪くなってきたときに声を出さなくなってしまうところがある。プレーだけではなく、メンタルや声の部分でも流れを持ってこられると思うので、その部分をしっかりとやってほしい」。

 チームを支えた最上級生は澤だけではない。途中出場ながら28分48秒プレーした河崎心愛は「3年生でただ仲良くやるだけではなく、お互いに厳しいところも作って注意し合い、楽しくやるときは楽しく、厳しくやるときは厳しくやってきた」と振り返った。佐藤コーチも「3年生には本当に悔しい思いをしてもらった。我慢してもらったところがあったが、チームのことだから、いろんなところで支えてもらった」と3年生の働きに感謝しながら、後輩たちに奮起を促した。

「試合に出たい中で控えに回って、我慢してきた3年生がいる。その思いは1、2年生も汲まないといけない。今日はいい経験を積めたと思うが、これが次に繋がらないといけない」。先輩たちの思いを受け継ぎ、悔しい経験を糧に1、2年生がどんな成長を見せてくれるか、今から楽しみだ。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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