女子卓球部13人と水谷隼が夏の四国で過ごした忘れられない1日「インターハイで輝いて」
女子卓球部13人に直接指導「皆さん、卓球が好きなんだなって」
交流は、これで終わりではない。
学校に移り、行われたのは女子卓球部への直接指導。多くの選手がインターハイ出場を決めている13人と汗を流した。まずはウォーミングアップで行っていた2人一組のラリーに“飛び入り参加”。実際に打ち合った1年生の選手を「緊張したけど、テレビの中にいる人と一緒にできてうれしかった」と感激させた。
さらに、インターハイを控える選手たちと1人5分ほど個別に打ち合い、現役時代さながらのサーブやスマッシュを披露。終わった後はそれぞれから質問を受け、サーブのスライスのかけ方、レシーブの際に意識すべきことなど、具体的にアドバイスを送った。選手たちは真剣な眼差しで聞き入った。
1時間半にわたり、指導を行った水谷さんは最後に、ポカリスエットのスクイズボトルを個別に、サイン入りのウォータージャグをチームに贈呈。選手たちと記念撮影を行い、「皆さんがインターハイにかける想いがひしひしと伝わってきた。みんなで切磋琢磨して頑張ってください」と挨拶し、エールを送った。
高校の部活指導は初めてだったという水谷さん。1日を終えた後で地元テレビ局2台のカメラの前に立った。
「高校生とどう接すればいいかと思って緊張したけど、やってみたら選手の皆さんの向上心が高かったので、凄く教えやすかったです」と笑顔。「皆さん、卓球が好きなんだなって感じた。自分が高校生の頃、漠然と強くなることだけを考えて打ち込んでいた頃を思い出しました」と感慨深げな様子だ。
今年2月の引退セレモニーから、まだ半年足らず。今後の活動については、卓球の普及に強い想いを持っているという。「卓球というのは生涯スポーツなので、ぜひ死ぬまでやってほしい。練習を積んでいけば、必ず強くなる、結果を残せるということをこれから伝えていきたい」と決意を新たにした。
済美卓球部の練習場には「済美から世界へ」というスローガンが壁に掲げられていた。
選手たちにとって、五輪金メダリストとの触れ合いは、まさにその言葉をよりリアルに感じられる1日に。
そして、全国の高校生たちにとってはインターハイが目前に迫っている。
「僕が高校生の時はインターハイで優勝することを目標に一生懸命やってきた。そのインターハイで、皆さんが輝いてくれることを応援しています」
水谷さんが愛媛の地で最後に残した言葉は、この夏にかけるすべての高校生へのエールだ。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)