「1人で大きなものは背負えない」 日大ラグビー部・菊谷崇HCが考える“主将論”
4年生35人全員にリーダー職「チームにとって意義ある仕事を」
――菊谷HCは日本代表で主将になった後、主将が1人で全てを背負う必要はないと学んだそうですね。
菊谷:はい。それはエディー・ジョーンズHC(現イングランド代表HC)の時に学びました。誰か1人が大きなものを抱え込むのは無理なこと。FW(フォワード)とBK(バックス)にそれぞれリーダーを置いて仕事や責任を分担すればいい。リーダーと意見交換しながら、最終的にまとめるのが主将。なので、日大でもFW2人、BK2人、そして海外選手とのリンク役としてフィジー出身のトゥポウ、この5人にコアリーダーをやってもらっています。
平坂:コアリーダーが5人いるので、疑問に思った時、どうしたらいいか分からなくなった時に意見を聞いたり、話し合うことができる。こういう環境のおかげで、負担はかなり軽減していると思います。
菊谷:実は4年生35人全員に何かしらのリーダーになってもらおうと思っているんですよ。意義ある大学4年目なので、試合に出る出ないにかかわらず、自分がチームにとって意義ある仕事をしている認識を持ってもらいたいし、自分が担当する分野を専門的に理解してもらえば、問題が起きた時に解決しやすいので。
平坂:例えば、ラグビー部全体を見た時、練習に関することに限らず、寮の環境も改善しなければならないことは多いけれど、主将はそこまで目が届かないことがあります。そういう時に寮長・副寮長がいてくれると話が伝わりやすく、助かりますね。
菊谷:実は僕、人生初の主将経験が日本代表だったんです(笑)。
平坂:え、それはタフですね(笑)。
菊谷:パンチあったよ(笑)。それまで主将経験はなくても、ポジションがFWの第3列だったのでBKとの連携も多く、コミュニケーションが重要でした。リーダーになることもあったので話はできるようになったものの、一方的だと足りないんですよね。伝えたことを相手がどう受け取るかによって、自分の発言の意図が変わることもある。主将になってからは記事を見て「こんなこと言ったかな?」っていうこともありました(笑)。
平坂:僕はまだ、しっかり言葉にして伝えることが大変。そこが課題です。
菊谷:伸びしろがありそうだな(笑)。